東京メトロの100%出資子会社である株式会社メトロセルビス(本社=東京都台東区東上野)の契約社員である女性清掃作業員(57)が、駅構内のごみ箱に入っていたICカード乗車券を届け出ず、着服したことが分かった。
東京メトロによると、昨年12月3日午前9時頃、当該作業員が日比谷線・恵比寿駅で、ごみの収集作業を終え、分別作業をしていたところ、その中に無記名式のICカード乗車券を発見。作業員は「ごみ箱に捨てられたごみ」と判断し、駅事務所に届けずそのまま着服。ICカードには残額約3100円がチャージされていたが、ほぼ全額分をコンビニエンスストアで使い、詰め所で食べる煎餅やケーキの購入に充てていた。
1月29日、メトロセルビスの別の社員が同社の本社に申告。東京メトロが調査した結果、着服が事実であることが判明した。
東京メトロでは「このような行為はお客様の信頼を著しく損なうものであり、深くお詫びするとともに再発防止に努めてまいります」としており、作業員はメトロセルビス社の社内規定により、処分されるという。
そもそも、ICカード乗車券が入っていた場所はごみ箱である。立場をわきまえず、残額を使ってしまった作業員も問題ではある。しかし、ごみ箱に入っている物はごみなのか、あるいは遺失物なのか、その定義付けは極めてむずかしい。たとえば、捨ててあった新聞や雑誌などを失敬しても、着服になるものなのか?
(蔵元英二)