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2万6千人が感動! オカダとケニーが46分45秒で築いた新日本1・4闘強導夢

 新日本プロレス1・4東京ドーム大会『レッスルキングダム11』のメインイベントは、46分45秒という東京ドームでのプロレス大会史上最長の試合時間で、オカダ・カズチカが脅威の粘りを見せたケニー・オメガを渾身のレインメーカーで振り切って、IWGPヘビー級王座の防衛に成功した。

 この日、東京ドームに集まったのは26,192人の大観衆。メインの試合時間が進むにつれて、ドーム内の空気が変わってきたのが記者席まで伝わってきた。アリーナに降りてみると、何人ものファンが泣きながら2人の試合を見ている。毎年1・4ドーム大会に足を運んでいるが、こういう光景ははじめてだ。試合後、インタビュールームに現れたオカダにストレートにぶつけてみた。

 ──今日の試合、30分を越えたあたりから、観客席で涙ぐむファンがかなり見えたんですね。こういう光景は最近新日本プロレスでなかったなと思うんですけど、会場の雰囲気の変化は感じられましたか?

 オカダ「どうなんですかね? 今日のオカダvsケニーがそういうお客さんの心に響く試合だったと思いますし、本当に感情移入して泣ける試合なんて腐るほどありますし、ドンドンドンドンそういう泣ける試合もそうですし、ハラハラドキドキワクワクした試合もあると思いますし、そういう試合を見せていけるのが新日本プロレスだと思いますんで、それがプロレスの魅力だと思いますんで、そういうのをドンドン見せていけたらと思います」

 ファンが涙を流したのはケニーの底知れぬスタミナがオカダをかなり追いつめたのも大きいが、レインメーカーとして凱旋帰国してからのオカダは、クールさを前面に出していたこともあり、ファンから感情移入がし難い選手と言われることが少なくなかった。しかし、あれから6年が経ち、東京ドームという大会場で観客と喜怒哀楽を分かちあえる選手に成長したのが理由だろう。昨年まで6年連続でドームのメインを務めてきた棚橋弘至(今回はセミファイナルに出場)がいなくても、棚橋の影をまったく感じさせることなく、大会を締めてみせた今のオカダは、立派なIWGPヘビー級王者である。

 ──試合後にケニー・オメガ選手を新日本の歴史上一番強い外国人選手だとおっしゃっていましたけど、どんなところが強いと感じましたか?

 オカダ「こんな47分も今まで試合したことないですもん。それは棚橋さんにしたってそう、内藤さんにしたってそう。したことないですし、今までの歴史の中で、新日本プロレスももうすぐ45周年ですけど、今が一番だと思ってますし、その中で僕とやっている選手、今回はケニー・オメガでしたけど、ここまで追い込まれてこんなにフラフラして帰ってくることは今までなかったですから、それは僕が認めます。もちろんファンの人も認めざるをえないような試合だったんじゃないかなと思います」

 試合中、挑戦者ケニーの凄さに対してオカダが動揺(困惑)した表情を見せたシーンがあった。それは試合時間が30分を超え、勝負に出たオカダはツームストンパイルドライバーからの正調レインメーカーを決めたが、カウント2で返されてしまう。このときに浮かべた「信じられない…」という表情と次の技に行けないオカダ、そしてゾンビのように這い上がってラッシュをかけてくるケニー。40分を超えてからは、どちらかといえばケニーが優勢だった。しかし最後の最後にチャンスを逃さないのが、オカダの「ケニーとは背負っているものが違う」という差だったのかもしれない。

 「今日は負けてしまったけど、とても誇らしい思いでいっぱいだ。こんな気持ちが沸き上がってくるとは思ってなかった。時にはこういう苦い思いもしなくてはならない。でも、オカダ、お前をリスペクトしている。お前は日本で最高、いや、もしかしたら世界でも最高のプロレスラーかもしれない。だけど、もし再戦のチャンスがあるなら、次は絶対に負けない。絶対に倒してみせるとここに誓おう。負けたとは思っていない。ニュージャパンは俺に最高のチャンスをくれた。そして2016年は、最高の時間をもたらせてくれた」

 46分45秒の激闘に敗れたケニーはインタビュールームの椅子に座ると、マイクが置かれた机にもたれかかりながら、オカダへの想いと新日本プロレスへの感謝の気持ちを語った。ケニーにとって2016年はバレットクラブのリーダー就任にはじまり、ヘビー級転向、『G1クライマックス』初出場&初優勝と、新たなるチャレンジを続けた一年だった。1・4ドーム大会のメインも経験し、最大の目標であるIWGPヘビー級王座「あと一歩」まで近づけただけに、今年はさらなる飛躍が期待される。

 「それは僕がケニー・オメガはライバルだと言う必要はないと思いますし、それはもう見ている人が決めればいいと思いますし、もしかしてこの試合で明らかに新日本の歴史で、ここでオカダとケニーのライバルストーリーが始まったよねっていう一戦になるかもしれないですし、もしかしたらケニーががんばらなければおしまいになってしまうかもしれないんで。僕がおまえのことをライバルと認めてやるって、そんなことはないですね。強いっていうのは認めてやります」

 ケニーはライバルになったか?という質問に対して、実にオカダらしい答えが返ってきたが、1・4ドーム大会という大舞台のメインイベントで、46分45秒という試合を闘い抜いたオカダとケニーの間に何も芽生えないはずがない。シングル初対決とは思えない濃厚な試合内容は、観客のハートを鷲掴みにした。かつて新日本プロレスはドーム大会のタイトルに闘強導夢(東京ドーム)という造語を入れていたが、まさに強い者が闘い、夢を導いた試合だったと思う。今大会のツイッターのハッシュタグのトレンドが世界一を記録したことからも、世界のプロレスファンがオカダとケニーから、闘強導夢を抱いたのではないだろうか。

 世界に誇れる試合が日本の東京ドームで実現したことを感謝したい。

(どら増田)
(C)イーデス・ハンセン
【新日Times Vol.49】

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