同ケーブルカーは高低差約423m、最大勾配25度10分を約6分で登りきるための斜めに構えたユニークなデザインで親しまれてきた。平均勾配22度は関東一という。段々に組んだ車窓からは最大乗員136人が四季折々の山のうつろいを楽しんでいるが、黙々と登山者らを運ぶその姿は力強く、重いザックを背負った登山者とよく似ている。「お疲れさま」と声をかけたくなるハイカーも多いに違いない。
御岳登山鉄道(本社・青梅市)は80年を超える歴史を持つ。1927年に設立され、34年に滝本駅〜御岳山駅が開業。終戦が迫った44年には不要不急線として休止されたことがある。72年に京王グループ傘下に入ってからは2代目にあたるこの2台がずっと踏ん張ってきた。
それだけに新車体導入を決めた同鉄道の思い入れは強く、3月11日まで旧車体さよならイベントを実施中。すでに両車体に特別ヘッドマークを掲出しているほか、3月1日からは旧車体写真展を開く。現役最後となる3月11日には、地上駅である滝本駅ホームで「さよならセレモニー」が開催される。