昼の情報番組『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)から深夜のバラエティ番組まで、活動範囲が相変わらず広いオードリー。その人気を支えているのは、野郎ども(男性)からの支持がズバ抜けて高いラジオ『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送/ANN)だろう。10周年を祝した今年3月には、日本武道館公演が実現。こんにちのオードリー人気の土台は間違いなく、ヘビーリスナーだ。
コアなファンの欲望をラジオをともに満たしているのは、『オードリーさん、ぜひ会って欲しい人がいるんです!』(中京テレビほか)だ。中京テレビが制作しており、春日&若林正恭にとって初の冠番組。開始から7年が経ち、今年4月から広域ネットになった。
“オードリーと会ったら面白いと思う”クチコミ投稿者が、みずから応募して成り立っている同番組。スタジオMCのオードリーと磯貝初奈アナウンサーが、投稿者と対面する時間・内容は行き当たりばったり。明日のテレビスターが誕生する可能性がある反面、すべり倒すリスクもある。
番組中、画面下には終始、テロップが流されている。その内容は、実にどうでもいいものばかりだ。たとえば……。
「偏見ですが、ネイティブな発音をする人はコーヒーではなくカフェラテを注文しがちな気がします」
「余談ですが、AD細井の家族は名字と異なりみんな小太りなんだそうです」
「春日さんに似ている人を検索すると長瀬智也さんからモアイ像まで幅広くヒットしました」
「ネットによると『イジられやすい人』はリアクションが大きく、声も大きい人が多いそうです」
知ったところで生活の役に立たないことこそが、番組の趣旨だ。では、例の春日事件はどう処理したか。
番組序盤で若林がおもむろに立ち上がり、カメラにお尻を向けて、春日に思いきりビンタする、これが答えだった。
「視聴者のみなさんに代わって」という若林は、「本来こういうヤツですからね」と加えることも忘れなかった。
ちなみに、その日のテロップは、「この日の春日さんは楽屋でも心なしか落ち着きがなく、逆にスタッフが気を遣いました」だった。
オードリー唯一の中京テレビのレギュラー。エリア拡大されて広域ネットになった今なお、ローカル色を損なっていないあたりに、ANNと同じ強いこだわりを感じる。
(伊藤雅奈子)