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再生可能エネルギー買い取り日本国内“電力ジャック”の不気味(1)

 太陽光発電などの再生可能エネルギーを電力会社が割高で買い取る新制度が、7月1日からいよいよ始まる。しかし、それに水を差すような不吉な観測が市場を飛び交っているという。

 再生可能エネルギーの全量買い取り制度は風力、地熱、中小水力などを対象にしているが、最大の目玉は太陽光発電だ。工業団地やゴルフ場跡地などに太陽電池パネルを敷き詰めたメガソーラーが典型例。用途に困っていた広大な土地も、パネルを設置すれば“金の卵”に生まれ変わる現代の錬金術とあって、ソフトバンク、オリックス、東京海上、三井物産などの異業種が競うようにして新規参入している。市場関係者がため息交じりに語る。
 「彼らはにわかバブルに乗じて濡れ手で粟をもくろんでいるのですが、より大きな見返りを期待できるのはパネルを供給する太陽電池メーカーです。とりわけ不気味なのは中国勢。欧州では安値競争を仕掛けたことから、ライバルの採算が急速に悪化し、今年の4月には世界のトップ企業だったドイツメーカーが破綻し、次いで米国で世界最大級のメガソーラーを計画していた会社も破綻した。その余勢を駆って日本に殴り込みをかける以上、迎え撃つ日本メーカーの大苦戦は避けられません」

 業界筋によると、中国には太陽電池メーカーが800社以上あり、国内の生存競争は熾烈を極める。そこで欧州や米国などに活路を求めたが、最大市場の欧州は経済危機に見舞われて業績の足を引っ張っているのが実情。結果、中国のトップ5は昨年12月期で揃いも揃って巨額の最終赤字を垂れ流した。そんな“紅い軍団”の目には、再生可能エネルギー元年を迎えた日本が黄金の島としか映らない。
 政府が太陽光の買い取り価格を1キロワット時当たり42円と決めたことも、中国企業の舌なめずりを後押しする。というのも昨年7月に中国政府が示した太陽光の買い取り価格は、1キロワット時当たり1元(約12円)だった。それでも十分採算が取れるのに、日本は4倍近い金額で買い取り、消費者には高く売りつける図式。これでは日本メーカーは太刀打ちできない。

 実際には経済産業省の調達価格等算定委員会が4月末に42円と決めたのだが、それにしてもなぜ政府はこれを丸のみしたのか。
 「政府だけじゃありません。算定委員会にしても業界の希望価格を丸のみした。要するに事業者が十分採算の取れる金額でないと再生可能エネルギーが普及しない。だから、脱原発をアピールすることが世間の理解を得られる特効薬とばかりに、新たに生じる国民負担は無視したのです」(経済記者)

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