イタリアの天才が魅せた! 前走・AR共和国杯を制した余勢を駆って挑んだスクリーンヒーローが、M・デムーロの手綱に導かれ、先頭でゴール板を駆け抜けた。
典型的な逃げ馬不在でレースは1000メートル通過が61秒8というスローぺース。末脚勝負が身上のディープスカイは動くに動けず、前走の天皇賞・秋でレコード勝ちしたウオッカは終始行きたがり、最後まで自慢の末脚が弾けることはなかった。
そんななか、スクリーンヒーローはマツリダゴッホを見る形で5、6番手を楽に追走。直線に入ると、ためにためた末脚を一気に爆発させた。見事な手綱さばきで、テン乗りの相棒を国際GIホースに導いたデムーロ騎手は「チョー気持ちいい(笑)。スタートが良かったし、道中もとても集中していていい感じで運べた。最後に外から1頭迫ってきたけど、“頼むから何とかしてくれ”という感じだった。ジャパンCは初めて勝ったし、うれしいです」と満面の笑みを浮かべた。
一方、ジョッキー時代を含め、これが初のGI制覇となった開業1年目の鹿戸雄調教師は「うまく流れに乗れた。最後が併せ馬のような形になったのも良かった。1着でゴールしたときには“どうしよう”って感じだった(笑)」とほおを紅潮させて喜びをかみ締めていた。
今後については「現時点では未定だし、オーナーに相談してからになるけど、美浦へ戻って体調が良ければ有馬記念に出走させる考えもある」。ダービー馬3頭を負かしてのGI制覇だけに、これからは王道を突き進むことになるだろう。
ところで、デムーロ騎手は本国イタリアでは天才といわれるジョッキー。日本での活躍も目覚ましく、2004年の皐月賞では今回と同様、人気薄(10番人気)のダイワメジャー(後にGI5勝)をGIホースに仲間入りさせた実績もある。スクリーンヒーローが力をつけているのは疑いようがないが、本当に国際GIを勝つほど強いのか、それとも日本の騎手がだらしなかったのか?。答えはスクリーンヒーローの“今後”にかかっている。