昨年の「裏・競馬10大ニュース」のひとつに挙げられる(?)のが、“常勝軍団”藤沢和厩舎のまさかまさかの重賞未勝利…。といっても、それは国内だけの話である。
あわやの不名誉な記録に、結果的にストップをかけたのが昨春、米GII・ピーターパンSを圧勝したカジノドライヴだ。
昨秋に2度目の米国遠征をした後の日本復帰戦となったJCダートは、カネヒキリをはじめとする強豪の前に6着敗退。米・GI・BCクラシック(12着)のみならず、国内でも古馬の厳しい洗礼を受けたが、「決して悲観する内容ではなかった」と藤沢和調教師は評価する。
「古馬混合のGIは、3歳馬には相当過酷な条件だったと思う。とくに、ダートは芝よりキャリア、力の差が表れるもの。斤量差もなかったしね」。6着といっても、コンマ5秒差だからやはり力はある。
「ドバイ遠征? 視野に入っているけど、招待されることが前提条件だからね。その前に、ここは確実に勝っておかないと、ことは前に進まないでしょう」
自己条件で足踏みしているようでは、世界などとはいってはいられない。今回は関東馬にして初めての地元出走…大きな注目が集まるなか、米GII馬のポテンシャルを余すことなく見せつけてくれるに違いない。
話題は“関東初見参”のカジノに譲っても、こちらには正月競馬のトリを託された意地とプライドがある。昨秋から再び中距離路線へ殴り込みをかけてきたキングストレイルが、AJCCで3つ目のタイトルを狙う。
走り初めの中山金杯は7着に敗退しているが、敗因は明らかだ。「久々と変則開催の影響もあって、14キロ増と太め残りだったね。直線も狭くなる場面があったけど、体が絞れていれば抜けてこれたはず。手応えの割に伸びなかったのはそのせいでしょう」と説明する藤沢和調教師。それでも、着差は0秒4。7歳になってもやれる感触はつかんだ。
中間はプールに坂路、コースを併用した丹念な調整。「数字は変わっていなくても、今度は中身が違うよ」と変わり身を強調した。
コース相性も抜群だ。中山は今回と同じ芝2200メートルのセントライト記念、そして京成杯AHと2重賞を含め、計3勝を挙げている。これはエアシェイディ、ネヴァブションと並びメンバー最多。さらに、昨秋のオールカマー(2着)で、あわや逃げ切りのシーンをつくり、中山の鬼マツリダゴッホをあわてさせたのは記憶に新しいところだ。
「千二に対応できるぐらいスピードがあるし、スタートもいいから自然と前に行けると思う。逃げるかって? それもありだね」と不敵な笑みを浮かべたトレーナー。文字通りの積極策で今年はイチ早くタイトルを獲りにいく。
【最終追いVTR】カジノドライヴとキングストレイルは今朝(21日)、そろって併せ馬を行い、態勢を整えた。美浦Wコース、ピサノパテック(古馬オープン)を交えた3頭併せは前からピサノ、キングス、カジノの順で、おのおの3〜4馬身の間隔をあけてスタートした。直線に向くと3頭は合体。ピサノが脱落するなか、キングス、カジノはともに余力たっぷり。最後はハナ面を併せてゴールした。キングスはひと息入った前走を叩かれ、動きに素軽さを増した印象。一方、カジノは相変わらずパワフルなフォーム。5F61秒1、上がり3F36秒8→13秒6(馬なり)と驚がくのタイムを叩き出し、仕上がりの良さとともに大物ぶりをアピールした。