理由は簡単だ。06年・高校生ドラフトを思い出せば分かる。超高校級内野手として評判だった堂上を、中日、巨人が入札。抽選の結果、中日が当選。坂本は『外れ1位』で巨人に指名されたのである。
「外れ1位の方が活躍しているわけですからね。面白いはずがありません」(関係者)
今さらではあるが、堂上は『中日ファミリー』で育った。3歳年上の兄・剛裕も中日選手だが、父・照さんも元中日投手で、中日若手寮『昇竜館』の館長も務めてきた。兄弟への期待は大きかったが、内野手の弟・直倫に関しては「アライバコンビ(荒木、井端)を崩すのは並大抵ではない。三塁には森野もいるしね」と、坂本と張り合うまでの道のりは険しそうだ。出場好機に恵まれたドラフトのライバルを羨むのも仕方ないかもしれないが、潜在能力の高さは他球団も認めている。
「本人によりも周囲が『坂本に負けるな!』『見返せ!』と発破をかけ、それでイヤになったんです。『背番号1』を与えられたように期待も高かったので、その裏返しでした。まあ、『1番』に昇格して以来、その重圧に押しつぶされてしまった感もしないではない」(前出・同)
坂本の話を振ると、「自分は自分、人は人」とは言うものの、今も表情は険しくなるそうだ。父・照氏は兄・剛裕が中日入りする際、こう言った。「プロのユニフォームを着て満足してしまうか、それとも上を目指すかは自分次第」と−−。4年目の今季、アライバと勝負する覚悟がなければ、中日首脳陣も06年のドラフトを悔やむことになるだろう。