登壇者の一人、西村琢氏が代表を務めるソウ・エクスペリエンス株式会社では、誕生日祝いや出産祝いなどにモノではなく体験を贈ることができる「体験ギフト」事業を展開している。西村氏は「(社員も)気持ちいい空間じゃないとそういうものはつくれない」と、自社独自の制度を設けているという。社外でのリモートワークや副業、子連れ出勤を認めるなど自由な環境を心がけており、「(仕事を)フルコミットだけじゃなくて半分コミットとか、部分的コミットもOKにすればずっと働いてくれる」「寛容であると結果的にみんなが長く働いてくれて、新しい人を雇うコストもかからない。長い人はノウハウも分かっていて構造的にもすごく有利」と西村氏。会社側にもメリットがあると考え、働く側のワークバランスを重視して“働きやすい環境”づくりに努めているようだ。
続いてトークセッションに登壇した株式会社HRBrainの堀浩輝社長は、ワークバランスを意識した制度や環境をつくることよりも、個人の仕事に対する「やる気」に重点を置くことが「働きやすさ」に繋がると考えているようだ。もともと堀氏は株式会社サイバーエージェントの事業部で従業員の目標・評価を管理していたが、“管理の方法”が非効率だと感じ、目標・評価を管理するクラウドサービスを提供する会社を立ち上げたという。堀氏は、かねてからサイバーエージェントの「人に燃えてもらうための仕掛け」には感銘を受けていたとのこと。「どんなに優れた社内制度や福利厚生よりも、上司と部下のコミュニケーションの量。これが一番大きい」と、自社への影響を語った。社員の“やる気”を引き出すためには、「目標に対する進捗ラップ(進捗状況をまとめたもの)だけの対話っていうのは非常に“管理主義”。それだけだと疲弊する」という堀氏。「目標管理とあわせて月次の面談(1対1)のメモを蓄積」していき、各従業員の意識や労働状況を理解して正当に評価することで、従業員は満足度を上げ、やる気を保っているという。対話しながら“働きやすい環境”をつくっているようだ。
“働きやすい環境”づくりを達成するために、会社は様々なアプローチをとっている。固定概念を捨てて働く側の要望に耳を傾けつつ、それぞれの形で「働き方改革」を進めているようだ。