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豆乳に飽きたら大豆飲料

 ダイエットや美肌効果のある健康食品として今、豆乳に人気が集まっている。豆乳には大豆の栄養分が凝縮されているためである。豆乳には大豆特有の臭みがあり、それを苦手とする人もいる。そこで登場したものが調製豆乳である。今ではココア豆乳、バニラ豆乳、イチゴ豆乳など様々な味のものが販売されており、抵抗感なく飲むことができる。

 飲みやすく味のバラエティーに富む豆乳が登場したことは進歩である。しかし、得るものがあれば失うものもあることが世の習いである。世の中は足し算だけでは進まない。引き算も必要である。通常の豆乳でも貴重な食物繊維や栄養分の排出は免れない。まして飲みやすく加工された最近の豆乳では失われるものが多い。それは健康効果を期待して豆乳を飲む層には本末転倒になる。

 そのような豆乳に物足りなさを感じた層には、大豆飲料が向いている。大豆飲料は豆乳と異なり、オカラを取り除かず、大豆を丸ごと使用する。それによって、豆乳の栄養分に加え、オカラの栄養分や食物繊維も摂取できる。
 この大豆飲料で注目すべき商品に、静岡県浜松市にある明治10年創業の豆腐屋・須部商店の「まるごとのむ大豆」である。南アルプス山系の天然地下水と国産大豆を使用し、老舗の豆腐屋の職人が手作りした本物志向の飲料である。「まるごとのむ大豆」は、豆乳に比べて食物繊維が約10倍、大豆イソフラボンが約2倍、たんぱく質が約1.5倍も含まれているという。
 大豆イソフラボンについては、過剰摂取に対する健康への悪影響が指摘されている。しかし、それはサプリメントのように、大豆イソフラボンのみを通常の食生活に上乗せして摂取する場合の問題であり、豆乳や大豆飲料のような大豆食品そのものの安全性は問題にしていない。反対に厚生労働省では、大豆や大豆由来食品を食生活の中で他の食品と組み合わせてバランスよく食べることを推奨している(厚生労働省「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&Aについて」2006年8月23日)。
 「まるごとのむ大豆」の味であるが、文字通りに大豆を飲むという感覚になる。大豆本来の旨みを生かした濃厚な味わいである。これを飲むと、豆乳が落語「目黒の秋刀魚」のオチで登場する骨抜きにされた秋刀魚のように思えてくる。豆乳の豆臭さは豆乳が嫌われる要因であるが、好きな人には豆乳のレベルでは物足りなくなる。大豆を味わいたい人に向いている。

(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者 林田力)

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