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新重賞今昔物語 1999年天皇賞・春 まじめで手を抜かない“日本人的な馬”が古馬の頂点に

 不世出の種牡馬サンデーサイレンスは多種多様な名馬を世に送り出した。脚質、距離適性…そのバリエーションは改めて振り返ると目を見張るばかりだ。

 ひたすら逃げてそのスピードを誇示し続けたサイレンススズカ。馬群でもがくライバルを飛ぶように抜き去っていったディープインパクト。ひたすら短距離の切れ味を磨き続けたデュランダル。種牡馬ランキングの上位を占めるSS系の馬たちの個性も、それらがみんな同じ父を持つとは思えないほどだ。
 そんななか、スペシャルウィークは個性がなかったのが個性といってもいい。どんな距離でも馬場でも展開でも一生懸命。いいかえれば日本人的。勤勉で、自分の仕事に手を抜かない馬だった。
 GI4勝で全成績は<10、4、2、1>。着外は1999年の京都大賞典で7着に崩れた一度きり。もちろん類まれな能力がなければできる芸当ではないが、それを常にパフォーマンスに変える精神力が最大の武器だった。

 1999年の天皇賞・春はそんなスペシャルウィークの長所がいかんなく発揮された。年明けのAJCCと阪神大賞典を連覇。その勢いが評価され、堂々の1番人気に支持された。
 しかし、レースはそれほど楽ではなかった。逃げてペースをつくったのは同期の2冠馬セイウンスカイだ。ペースは1000メートル通過が60秒9の平均的な流れ。スペシャルは3番手につけた。後ろにはメジロブライト、ステイゴールド、シルクジャスティスといった強豪がひしめいている。前門の虎、後門のオオカミではないが、前にも後ろにもライバルを置く3番手という位置は一見、絶好位に見えて最もプレッシャーのかかる厳しいポジションだ。
 あえてここに位置した武豊にはそれだけ自信があったのだろう。レースぶりも王者のそれだった。4角でセイウンに並びかけると突き放す。それを待っていたかのように追い込み勢が襲いかかってきたが、メジロを1/2馬身抑え込んでゴールを迎えた。
 3200メートル、丸々気の抜けない厳しい勝負を勝って前年のダービー馬は古馬の頂点にも就いた。まじめで手を抜かない。その真骨頂が光り輝いた一瞬だった。

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