黒いカリスマが外敵王者にまさかの援護射撃だ。
来年のドーム大会でIWGPを奪還すべく、TNA遠征から帰国した棚橋弘至を次期挑戦者に擁立した新日プロ。その棚橋は、先のシリーズで10連勝を成し遂げ、タイトル戦に向け絶好調だ。
至宝奪還に向け磐石の態勢を整えつつあるが、蝶野は「ここまできたら(どっちが勝つか)当日まで分からない」と分析。その上で「同年代でここまでやっているのは非常にうれしい。武藤さんには頑張ってほしい」とエールを送った。
新日本サイドとすれば、武藤を王座から引きずりおろすことが最優先課題のはず。にもかかわらず、なぜカリスマは外敵王者を応援するのか。かつては“闘魂三銃士”として苦楽を共にした英雄とはいえ、今は敵。武藤にエールを送ることは背徳行為ともいえる。
「団体を背負っている闘いという感じがしない。棚橋VS武藤という個人の闘いという印象。新日本は会社をあげて獲りにいくという選択をしなかった。11月くらいに(挑戦者に)オレが上がってきてもおかしくなかった」と指摘。棚橋を新日プロの代表として送り出すことにも異議を唱えた。
理由はある。「武藤さんは(IWGPと三冠の)2冠を持っている。グレート・ムタっていうチャンピオン像がいまいち話題になっていない。みんなが目を向けているものは好きじゃないし、アンダーグラウンド的な存在の方がおもしろい。逆に三冠の方が興味があるね」。黒いカリスマは、武藤にエールを送ることで、全日本の至宝を持つムタに挑戦することをもくろんでいる。
この日は、26日のPREMIUM東京・後楽園ホール大会に出場する、ヤングライオンの岡田かずちか、吉橋伸雄、ゼロワンMAXの植田使徒を、星野勘太郎総裁とともに指導。ロープワークやスパーリングなど基本を教え「前に出る気持ちと、もう一歩我慢できるかを見せてほしい」と語った。突如、ムタに興味を示した蝶野。タイトル戦線に、黒い足音が忍び寄りつつある。