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うちなんちゅやまとんちゅ〜沖縄身の丈見聞記〜(7)「夜を統べる“カーブヤー”」

 本土から沖縄にやってきた筆者が、歴史や事件の舞台を追いかけ、沖縄の独自文化や日々のカルチャーショックのつれづれを綴っていく『沖縄身の丈見聞記』。今回は、夜に遭遇したあるものの話をば…。

 あれは、沖縄に引っ越してから数か月が過ぎた頃。近所の居酒屋に飲みに行った帰りであった。沖縄でも寒くなってくる時期であったが、泡盛でほろ酔いになった体を冷ますほど風は冷たくもなく、生暖かい空気が漂っていた。
 明日は雨が降るからだろうか。そう考えを巡らせた時、不意に何かの気配がした。
 思わず自分が顔を上げた時、曇天の空の中を大きな黒い影が素早く、しかし音もなく横切った。
 あまりに素早くてそれが何かすぐには解らなかった。
 風に飛ばされたゴミ袋? いや、音は何もしなかったし、最近は古式ゆかしい黒いポリ袋なんて売ってない…まさか、『見ちゃった』!?
 思わず一瞬でいろいろ考えてしまったが、その『黒い影』は街路樹の枝をかすめると、すぐ側の電線にぶら下がった。光沢のある黒い皮、茶色い毛。そしてそれは電線で少し体勢を立て直すと、“つぶらな瞳”でこっちを見返した。

 か…可愛いいぃぃ!!(※画像参照)
 夜にもかかわらず、思わず相方と夜道できゃーきゃー黄色い声を上げてしまいました。

 黒い影の正体はオリイオオコウモリ。一般的に沖縄で『コウモリ』と言うと、コレになります。
 本土でよく見るアブラコウモリ等と違って、ピンと立った小さな耳につぶらな瞳。オオコウモリは普通のコウモリと違い、超音波でなく視覚に頼って行動するので目が大きいのです。英語ではオオコウモリをflying fox 「空飛ぶキツネ」と称していますが、確かにそんな顔立ち。リスとキツネを足して2で割ったような感じ、と言うと解って貰えるでしょうか。
 大きさは子猫ぐらい。体はふかふかの茶色い毛に覆われ、特に首の回りは毛足が長く、金色の毛が襟巻きのようです。黒い翼はさすがに大きくて、広げると怖く感じました。悪魔の背中にコウモリの羽を付けて表現した、昔の人の気持ちが解った気がしました(実際に「大きくてちょっと怖いから、嫌い」と言う人もいます)。
 うちなーぐちでは『カーブヤー』と言い、沖縄では離島の神話、伝説にも登場します。と言うのも、離島では人間の起源は動物であるとする伝説が多く、八重山ではコウモリが人間の起源であるとしています。

 このコウモリは草食性で、主食はフルーツなど。つい先日、桜に留まって桜の花を美味しそうにむしゃむしゃ食べているのを目撃しました。沖縄の桜は蜜が多いのでしょうか?
 夜行性ですが、気温が下がってきたら活発に活動しだすようなので、まだ明るい夕方頃でも見かける事があります。
 沖縄に旅行に来る方は、夜空を見上げてください。可愛いコウモリと目が合うかも知れませんよ。

写真:フリー素材屋Hoshino
http://www.s-hoshino.com/
動物・鳥・生物のフリー写真素材 無料画像070「オオコウモリ(沖縄)」
素材提供者:星野伸
撮影場所:中頭郡読谷村(沖縄県)

(黒松三太夫 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/

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