「一週間くらい前かな、村田から球団(栃木)に連絡があって、8月1日に会見場を押さえてほしいとの申し出がありました。覚悟していたんだと思います」(独立リーグ関係者)
独立リーグでの成績だが、打率3割5分2厘、本塁打9、打点44。25日の武蔵戦まで3試合連続アーチを放つなど絶好調だった。同関係者は、「レベルが違う。NPBや日本代表チームで4番を務めた人は、打球音からして違う」と評していた。
独立リーグ最終戦の9月9日の群馬戦までは現役を務める。本人は覚悟を決めていたようだが、12球団は“眼中ナシ”というわけではなかった。水面下で獲得を検討したチームも実際にあったようだ。
「古巣のベイスターズですよ。どれくらい真剣に検討したかは分かりませんが、獲得候補リストに村田が最後まで残っていたと聞いています」(球界関係者)
村田はDeNAが経営母体となった今日のベイスターズは知らない。だが、古巣側が村田獲得を検討した理由はいくつかある。DeNAが経営母体となって以来、チームOBを大切にするようになったが、それだけではない。「連日の猛暑」も影響していた。
「DeNAは8月に27試合を予定しています。でも、うち24試合が屋外球場なんです。横浜スタジアムでは17試合が組まれていますが、どうも、今年のDeNA投手陣は本拠地での成績が良くない。チーム防御率が4点台後半なので、味方打線の得点能力を高め、投手陣をカバーできる態勢にしないと…」(前出・同)
ベイスターズに限らず、8月の投手陣はバテバテだ。昨年8月のチーム防御率は4.25で、一昨年は4.14。昨年は打線が爆発して勝ち越したものの、今年は主砲・筒香へのマークが厳しく、大量得点につながることが少なくなった。この状況を元4番・村田の復帰で打破しようと考えたわけだ。
「村田が爆発的な活躍をするとは考えていません。でも、チーム功労者に対する敬意は示すべきだとの意見も出ていました」(同)
前所属の巨人でも、前日は村田の名前が囁かれていたそうだ。31日、先発マウンドに上った内海哲也が4年ぶりとなる完封勝利を収め、チームを支えた同じベテランとして、まさに明暗を分けた格好だ。村田は球団史上初の主将にも選ばれたほどだ。今もメールなどで連絡を取り合う選手は少なくないという。
「村田がどんな引退後のライフプランを立てているのか、巨人もその相談に乗る準備はできているようです」(同時点/ベテラン記者)
今季のセ・リーグのペナントレースだが、2位以下のチームがダンゴ状態となっている。そのため、短期的であっても起爆剤を求めがちだが、やはり長期的な視野で考えた場合、外部補強したら、誰か一人の若手を一軍登録から外さなければならない。そこで“損得勘定”がされて、最終的に至る。
功労者に対し、球団がどう応えていくべきか、勝負の世界とはいえ、考え直す必要もありそうだ。(スポーツライター・飯山満)