「第94回全国高校野球選手権大会」(8月8日開幕)出場を決めている広島県立広島工業高等学校(広島市南区)の2年生の元野球部員の男子生徒(16=同県廿日市市)が、7月30日、強制わいせつ容疑で再逮捕された。
再逮捕容疑は、5月17日午後8時半頃、廿日市市宮内の路上で、学校から帰宅途中の女子高生(15)を押し倒し、体を触るなどした疑い。同署によると容疑を認めている。男子生徒は部活動の帰りだった。
県警と同校によると、この男子生徒は20日に同市の路上で別の女子高生(18)の上半身を触ってケガをさせたとして、強制わいせつ致傷容疑などで緊急逮捕され、その日に保護者を通じて退部を申し出ていた。男子生徒は県大会の出場メンバーには入っていなかった。
20日といえば、広島県大会の真っ最中。広島工はこの日に試合はなかったが、事件前日の19日の2回戦では福山商に14-2で勝利(7回コールド)、翌21日の3回戦では国泰寺に11-9で勝利している。同校はその後、順調に勝ち進み、26日の決勝戦で盈進(えいしん)を8-3で破って、20年ぶりの甲子園出場を決めた。
同校では20日に県高野連に報告。日本高野連によると、「個人の不祥事でチームの対外試合を禁止するには至らない」と判断したという。同校の田口裕校長は甲子園への出場を辞退しないことを明言している。
同校は過去に春夏合わせて9回甲子園に出場した古豪で、OBには新井貴博(阪神)、高津臣吾(新潟アルビレックス)らがいる。
同様の事件としては、6月11日に名門・浦和学院(埼玉県さいたま市)の2年生の野球部員の男子生徒が、電車内で女子高生に痴漢をはたらき、県迷惑行為防止条例違反(痴漢)の容疑で現行犯逮捕された。男子生徒は春のセンバツでも活躍したレギュラークラスの選手だった。
この際も日本高野連は「連帯責任を問う事件ではない」と広島工と同様の判断をし、浦和学院は埼玉県大会に出場。同大会を制して、春夏連続で甲子園出場を決めた。
確かに両方の事件とも、部員個人の犯行で、他の部員には何の関係もなく、連帯責任を問われるようなものではない。従って、対外試合を禁止されるような問題ではないだろう。ただ、管理監督する側の責任はあるのではなかろうか。
(落合一郎)