このオネエ系タレントは、毎年のように新人が次々と出現するジャンルだと言える。芸能界においては、入れ替わりが激しいものの、適切なタイミングで新人キャラが登場し続けるが、お笑い芸人のように各事務所ごとの養成所もないのに、なぜこれほどおネエ系は「安定」しているのだろうか。そこには、タレントが供給される場所があると言える。
まず挙げられるのは、ショーパブである。いわゆる夜の世界において、歌唱、ダンス、ネタの披露などでお客さんを楽しませる場所である。りんごちゃんも銀座のショーパブ出身であり、現在も勤務中だ。テレビで披露される野太い声のギャップものまねは、ショーパブテイストがあふれるものだと言える。さらに、2000年代初めに「エアあやや」のものまねでブレークを果たしたはるな愛も、ショーパブ出身であり、あややネタはお店でも披露されるものだった。
元祖おネエ系タレントとも言える日出郎も、働いていたショーパブでダンサーとして踊っていたところ、常連だったテレビディレクター時代のテリー伊藤にスカウトされ、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』』(日本テレビ系)出演などで人気を博す。ショーパブ出身のタレントは、ダンスなどの基礎ができており、普段から客を前にしたネタのならしもできているため、即戦力で使えるタレントとして人気があるのだろう。
ショーパブと並ぶもう一つのタレント供給源が、業界の裏方である。IKKOはヘアメイクアーティストとして長く業界の裏方で活躍しており、後にタレント活動を始めた。先月亡くなった「元祖おネエ系タレント」とも言われるきよ彦さんも、当初は着物デザイナーとして裏方から芸能界に関わっていた。業界と接するうちに、タレント適性を見出された人が表舞台に出てくるといったルートがあるのだ。
こうした太いルートを持っているだけに、今後も新たなおネエ系タレントが現れそうだ。