同団体の田上明社長(51)が12月19日に会見を開き、かねてウワサされていた秋山準(43)、潮崎豪(30)、金丸義信(36)、鈴木鼓太郎(34)、青木篤志(35)の5人と来年の契約を更新せず、今年いっぱいで退団することを発表した。
田上社長によると、秋山については、「休まないと体が限界にきている。契約して休むと会社に迷惑がかかる。ちょっと休んでから、フリーとして復帰したい」とのこと。復帰後は「お誘いがあれば、いつでも参上します」と、ノアへの参戦にも前向きだという。
潮崎、鈴木、青木の3人は「ノアにいたら、ほかの色んなやりたい選手とできないので、外に行ってやりたい選手とやりたいことをしてみたい」というのが退団理由。
金丸はインストラクターの資格を持っており、「そっちの仕事もしてみたい」と、他の仕事との兼ね合いの関係としている。
田上社長は5人とも、契約を満了しての円満退団を強調。現場から要望があれば、フリー選手としての古巣参戦にも門戸を開く腹づもりだ。
現在は5人とも無冠だが、全員GHCのベルトを巻いた主力選手。特に秋山、潮崎はGHCヘビー級王者として、団体のエースとして、ノアをけん引した時期もあるだけに、戦力的にその流出は痛いところ。
ノアでは12月9日、両国国技館大会で団体の至宝ともいえる小橋建太(45)が引退を表明しており、これでスター選手がごっそり抜けることになる。
田上社長は当面、フリー選手で穴埋めし、所属選手の補強や国籍問わず新人選手の育成で補っていく意向を示した。
04、05年には東京ドームにも進出したノアだが、09年3月に日本テレビの地上波テレビ中継を打ち切られ、同年6月には看板選手であった三沢光晴前社長が、試合中の不慮の事故で亡くなった。人気選手の小橋も病気やケガが重なり、欠場が多くなった。徐々に観客動員が落ちていき、最近ではキャパシティ2000人規模の後楽園ホールでさえ、満員にならないことが多くなった。昨年末には齋藤彰俊、佐野巧真、井上雅央の中堅3選手をリストラしていた。
プロレスライターのA氏は「現GHCヘビー級王者の森嶋猛、丸藤正道、KENTA、杉浦貴の4人が残るのは救いです。秋山らが離脱しても、その影響はすぐには出ないと思いますが、今までよりマッチメーク、試合のクオリティが落ちてしまうのは避けられません。興行規模を縮小したり、赤字の地方興行を減らしたりして、経営をスリム化しないと、生き残れないのではないでしょうか」と語る。
かつては隆盛を築いたノアだが、主力選手の大量離脱で、その運営は岐路に立たされたといえよう。
(落合一郎)