今こそ夢のドリームマッチの実現を。
この日の三沢さん追悼興行では、当日用意した立見席200枚がすべて完売。2007年12月2日の小橋建太復帰戦以来となる17000人超満員(主催者発表)のファンが来場した。
全試合終了後、追悼セレモニーが行われ10カウントゴング。三沢さんのテーマ曲だった「スパルタンX」や生前活躍していた映像が流された。
最後に仲田龍リングアナウンサーが「GHCヘビー級選手権者、三沢光晴」とコールすると、緑と白の紙テープがリングに投げ入れられた。場内からは大「ミサワ」コールが沸き起こり、あらためてその存在の大きさを知らしめた。
“黒子役”として興行を陰ながら支えた丸藤正道副社長は「感謝のひと言に尽きると思います。レスラーとファンのみんなで(大会を)作り上げることができた。選手みんなが今日という日を忘れず、この経験を生かしていければ」と語った。
そんな中、実現した一夜限りの四天王VS闘魂三銃士の一戦。小橋は高山善廣とタッグを結成し、田上明&武藤とスペシャルタッグマッチで激突した。(試合詳報は別掲)
武藤との初対戦を終えた鉄人は「そんなに当たらなかったけど、いい刺激になった。輝き、オーラを持った選手だと思いました。長い時間ではなかったが、凝縮されていた」と興奮気味に語った。
さらに今後については「どこかで会うかもしれないね」(小橋)と再戦に前向きな可能性を示した。
一方、武藤も「心残りはムーンサルトがお互い不発だったこと。どこで実現できるかわからないけど、三沢社長とは(一騎打ちが)実現できなかったけど、小橋選手とは夢のひとつとしてとっておいてもいいのかなと」と“決着戦”に意欲。
三沢さんとはタッグでの対戦や組んだことはあるものの、シングルマッチだけはとうとう実現しなかっただけに、小橋との想いはより強いものかもしれない。
丸藤副社長は「武藤さんがみんなと握手しないでいたのは夢の続きがあるからかもしれない。オレも(08年に)全日本プロレスに上がった時から武藤敬司は狙っているし。これで終わらせるつもりもないですしね」と継続的な対戦を呼びかけるつもりでいる。
鉄人VS天才。もしかしたらこれが新たなDeparture(出発)なのかもしれない。
小橋と武藤の初対決は小橋組に軍配。鉄人の74発のチョップで三沢さんを送り出した。
この日、高山と組み田上&武藤の“社長タッグ”と対峙した小橋。初対戦となる武藤のシャイニングウィザードや低空ドロップキック、ドラゴンスクリューからの足4の字固めの“ヒザ殺しフルコース”に苦戦を強いられた。さらに新社長からはノド輪落とし“オレが田上”をくってピンチに陥った。
それでも逆水平、マシンガン、ローリング袈裟斬りチョップなど計74発のチョップを田上、武藤の胸板に叩き込み追悼興行に花を添え、最後は剛腕ラリアートで田上を沈め、凱歌をあげた。
武藤との対決を制した鉄人は「多くのファンのみなさんと三沢さんを送れたらと思っていたのでうれしいです」と感慨深げに語っていた。