家族4人で力を合わせ、リレー形式で約120キロを完走した姿は、日本全国に感動を与えた。2日間を通じた全放送時間の平均視聴率(以下、すべてビデオリサーチ調べ、関東地区)は17.1%だったが、フィナーレの26日午後7時〜9時9分は28.0%。なかでも、健介ファミリーのアンカー、北斗がメーン会場の日本武道館にゴールする直前と直後のシーン(午後8時57分、58分)では、瞬間最高視聴率39.1%という、驚異的な視聴率を示した。
全国でこれだけの視聴者が健介ファミリーの走りを目撃したわけだから、もはや健介は超有名人。バラエティ番組への出演も多く、知名度では現役プロレスラーの中でナンバー1といっても、過言ではないだろう。
今回の24時間テレビで、さらなる知名度アップに成功したとあって、今後、本業のプロレスでも、さぞやウハウハかと思いきや、こちらはからっきしダメだというのだ。
ベテランの格闘技ライターのA氏は、「WJプロレスを退団し、フリーになった当初は、引っ張りだこになった時期もありました。しかし、今は自分の団体(DIAMOND RING=以下、DR=旧名・健介オフィス)を旗揚げし、その自主興行のほかは、プロレスリング・ノア(田上明社長)への参戦ぐらいしか仕事はありません。そのノアも、財政難から、ほぼフル出場だった健介へのオファーは激減しており、プロレスでの実入りは確実に減っています」と語る。
実際にDRの興行実態を調べてみると、8月はマラソンに備えた影響もあって、収容能力200人ほどの道場(埼玉県吉川市)での興行が4回あるだけ。9、10、11月は道場マッチ以外の地方興行が月1回ずつ予定されているだけ(29日現在)。他団体への出場となると、めっきり減っているのが実情だ。
「プロレス界自体が不景気のため、ギャラが高い健介は、どの団体も使いづらい環境にあります。いくら、24時間テレビで有名になったからといっても、それでオファーが殺到するような業界の現状ではありません。自主興行といっても、DRは所属選手が少なく、他団体やフリー選手頼みであるため、なかなか数も増やせないところです」(前述のライターA氏)
超有名人になっても、増えるのは芸能の仕事だけ。肝心の本業は、トホホの現実とは悲しいばかりだ。
(坂本太郎)