8月のスカウト会議を前後して、キーマンとなる山田GMは「競争は覚悟しなければならない」と発言している。左腕・藤岡貴裕投手(東洋大)に決まりつつあるようだが、この発言は「巨人との一騎討ちに臨む」とも解釈できる。菅野智之投手(東海大)の入札も消えたわけではない。
この2人のどちらで行くにせよ、競合は避けられない。『外れ1位リスト』が大きなポイントとなるだろう。
日本ハムの育成には定評があるが、03年2巡・須永英輝(現巨人)、05年高校3巡・木下達生(現中日)、06年高校1巡・吉川光夫など上位指名の高卒・有望投手が伸び悩んだ。大卒では八木智哉(06年希望入団)の故障の多さも気になる。本来、主軸投手になるべく彼らの伸び悩み・退団が、外国人投手への依存度を高くした。
今年の高校生投手は“磨けば光る原石”も多い。しかし、須永、木下、吉川の失敗もあったため、「より慎重に、細部に渡った調査を続けていく」と聞いている。また、『お目当ての即戦力投手』の入札球団があまりにも多かった場合、別の選択肢を取るのではないだろうか。こちらが取材した限りだが、今のところ、2通りの選択肢が見えてきた。
1つは「別の即戦力投手」を一本釣りすること。ネームバリューこそ、藤岡、菅野に劣るが、白崎勇気投手(駒沢大)がいる。白崎投手に関しては、山田GMに勝るとも劣らない発言力を持つ今成泰章スカウトが視察を重ねている。“地元出身”なら、JR北海道・武藤好貴投手もいる。
2つ目は、『ポスト稲葉』に切り換えること。東京六大学リーグの関係者によれば、慶応大学のスラッガー・伊藤隼太外野手の視察にも熱心だと言う。やはり、日本ハムも高橋周平内野手(東海大甲府)を高く評価しているそうだ。投手の補強は不可欠だが、「欲しい選手を確実に獲る」のなら、今年は高橋内野手をいきなり1位入札する戦略に“直前変更”するのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)