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【TVでおなじみ山口敏太郎が語る“都市伝説”】〜ある密室事件〜

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 目黒区に住むあるライターが行方不明になった。編集者の目の前で、突如消えてしまったのである。その日ライターは編集者と喫茶店で打ち合わせをした後、今日手渡す予定の原稿を取りに自分のマンションまで戻った。そして、マンションのドア前まで同行した編集者にはこう言ったのだ。

「散らかっているので、少しここで待ってくれませんか。ほんの1〜2分です」

「わかりました」

しかし、待てど暮らせど一向にライターは出てこない。

「○○さーん どうですか?原稿」

ノックしても、大声で呼んでも出てこないのだ。

(ひよっとして中で倒れているのではないか)

 と心配になり、編集者は携帯電話で救急車を呼んだ。また、編集者の大声を聞きつけた隣人が管理人を呼びに行った。そして、救急隊員3名、管理人、編集者、隣人の6名で室内に入っていった。やはり鍵は内側からかかっており管理人の鍵で開けた。

 しかし、3DKのマンションには誰もいない。ほとんど家具のないこの室内で隠れるのは不可能である。

(ライターはどこに消えたのであろうか?)

 天井への入り口もなく、窓はあるもののベランダもない上、8階から飛び降りる事は不可能である。屋上へ逃げる事も同様であり、この状態での失踪は不可能と言えた。ただ、編集者が印象深く覚えているのは、机の上にワープロ原稿が残っており、開いた窓からの風でその原稿がひらひらと揺れていた点である。そして、その原稿にはこう書かれていたのである。

「俺は成功した。空を飛ぶ事に成功したのだ」

…これは果たして真実なのか、8階から本当に飛び降りたのだろうか?

このライターの妄想なのだろうか。とすると編集者も共犯なのか。

ライターの行方はいまもって不明であるという。

(監修:山口敏太郎)

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