次期挑戦者の実力を見極めるべく、7日の新日プロ大阪大会を視察した武藤。試合後には棚橋から引き立て役にされ、かつての愛弟子から“先制パンチ”を食らった格好だが、収穫もあった。
武藤は「確かにタナと比べると、オレは短所もあるけど、長所はもっといっぱいある。これだけは負けないってもの? 歳だろ。ということはキャリア」とニヤリ。経験で得た引き出しの多さでは負けない自負がある。
さっそく棚橋をメッタ斬りにする。大阪での真壁刀義戦で、棚橋が繰り出したチェーン巻きスリングブレイドやフランケンシュタイナーを例に出し「この間の棚橋は、2つとも真似してたな。あの辺がひらめきじゃないもんな」とズバリ。武藤が9・21神戸大会での真壁刀義戦でチェーンを利用したシャイニングウィザードを繰り出し、10・13両国大会でのフランケンシュタイナーで勝利を奪ったことのパクりだと指摘。経験不足でオリジナリティーがないことを弱点の1つに挙げた。
見つけた弱点はそれだけではない。
武藤は独自のルートを駆使し、棚橋のフェロモンボディーをチェック。見た目重視の肉体だと判断した。現在、棚橋のベンチプレスの最高が140キロと分かるや「そんなもん片手で上げられる」とあざ笑う。さすがに片手では難しいだろうが、武藤は、今でも190キロを上げるというだけにパワーの差は一目瞭然だ。
キャリア、パワーで棚橋の上を行く武藤。後藤洋央紀、中邑真輔に続き、棚橋を倒せば、“新三銃士”をすべて撃破したことになる。すでに先を見据える武藤は「じゃあ、もう(次は)先輩方しかいないな」と語る。早くも同年代かそれ以上の歴代IWGP王者との防衛戦計画を描いている。
アメリカ帰りの棚橋を丸裸にした武藤のV5は、もはや約束されたも同然か。
○プロレス大賞 最高齢4度目MVP
2008年プロレス大賞選考会議が9日、都内で行われ、全日本プロレスの武藤敬司が7年ぶり4度目の最優秀選手賞(MVP)に輝いた。
武藤は今年4月に新日本プロレスのIWGPヘビー級王座を奪取。9月にはグレート・ムタとして全日プロの3冠ヘビー級王座も獲得し、老舗2団体の頂点に立つなど活躍した。45歳11カ月での受賞は史上最高齢。
武藤は「何度獲ってもうれしい。こういう環境を作ってくれた新日本、与えてくれた人たちに感謝します。7年間の蓄積があって獲れた部分がある。来年も頑張る」と喜びを表現した。
年間最高試合は、11月3日の全日プロ両国大会で行われた丸藤正道VS近藤修司の世界ジュニアヘビー級選手権試合が選ばれた。