西武は宮崎県南郷町でキャンプを行う。二軍は西武第二球場でスタートし、2月9日に高知県高知市に移動する。
「球団は南郷町側と警備態勢について、かなり早い時期から打ち合わせをしていました。雄星を連れて行けば、ファンやマスコミが殺到するのは必至です。キャンプ報道で西武が主役を務めるのは、松坂が入団した99年以来ですからね」(在京球団職員)
雄星の公式戦デビューは2月26日のオープン戦、それも原巨人との対戦が有力視されている。西武球団が「スター誕生のお膳立て」に力を入れているのが分かるが、その同様の話が「高知側にもあった」というのだ。
つまり、球団は二軍でじっくり育成するプランも選択肢にあり、『一軍帯同』を最初から決めていたわけではなかったのである。
「3年前、日本ハムが中田翔を一軍キャンプでスタートさせました。『スター候補生』であり、お披露目の意味合いもあったんですが、中田の場合は一軍選手とのレベルの違いを痛感し、精神的に潰れてしまいました。とくに守備面で」(前出・同)
西武関係者によれば、雄星を一軍に帯同させるか否かで球団は二分したという。渡辺監督以下、現場コーチ陣は『慎重論』を唱えたが、営業サイドは聞く耳を持たなかったそうだ。登録名の『雄星』にしても、営業サイドの強い意向により、渡辺監督は押し切られた格好だ。
「『菊池』より、『雄星』の方が親しみ易く、グッズも売れると営業サイドは見ています。また、西武選手の宿泊施設は系列グループのホテルです。南郷町は空港からクルマで約1時間半の移動時間を要するし、雄星目当てが集まるファン、マスコミも関連業者の施設、交通機関を使わざるを得ませんので」(地元関係者)
球団にとって、雄星は『カネの成る木』でもあるようだ。
渡辺監督が『慎重論』を唱えた理由は、彼のマジメさにある。一軍選手は独自の調整方法を習得している。全体練習の終了後、ベテランはその独自メニューに則って自主的に練習をし、開幕に備える。だが、雄星に限らず、高校球児は学校監督から「やれ!」と命令された練習をこなしてきただけであり、『大人の調整法』を知らない。
「西武選手はゲーマーが多いんですよ。菊地君は選手寮に私服さえ持って来なかったマジメ人間ですよ。先輩たちとの付き合いでゲーム機での遊びにも誘われるでしょうし、工藤,西口といったベテランの助言を聞いても消化できないかもしれない」(前出・在京球団職員)
雄星が“ゲーマー軍団の悪い誘い”に誘われたら…。マジメな性格ゆえ、断れないだろう。渡辺監督は宿舎に引き上げた後も『監視の眼』を光らせなければならない。