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お菓子のような映画『グランド・ブダペスト・ホテル』 の裏テーマは世界平和だった!

 今年の6月に公開され、まだ都内で大ヒットロングラン上映を続けているウェス・アンダーソン監督の最新作『グランド・ブダペスト・ホテル』のブルーレイ&DVDの発売が11/12に決定した。オシャレで可愛らしく、素敵なインテリアやレトロで豪華な衣装で飾られた舞台は女性にはたまらない内容となっている。物語は1930年代、1950年代、そして現在が交差している。1人の有能なホテルのコンシェルジュであるグスタフが常連のお客さんであるマダムDの遺産欲しさに彼女を殺したという容疑をかけられ逃亡するというミステリー。ところどころにブラックユーモアやウィットに富んだ会話が交わされ、笑いまで提供してくれる。しかし、バックグラウンドを知ると実は本作の裏には戦争は嫌だ、世界平和を願うという気持ちが込められている事が分かるのだ。

 まず、本作はツヴァイクという1930年代に活躍したメロドラマ作家の本「昨日の世界」が元になっている。そのツヴァイクは世界平和のためにヨーロッパの精神的統合のための運動も行っていたほどの平和主義者。そして彼は最期自殺してしまうのだが、その理由が自分が求めていた平和がやってこないことについて憤りを感じていたから、と言われているほど。そんな彼が書いた「昨日の世界」は世界で大戦が起こる前の理想的な状態の事がストーリーの軸になっている。

 そしてこの『グランド・ブダペスト・ホテル』の舞台の1つである30年代は第一次世界大戦と第二次世界大戦が勃発するちょうど間の時代で、人々は世界平和を求めて戦争反対という思想が広まり、更にヨーロッパはファシストに占領されていた時代でもあった。実際に監督のウェスはナチスに対するヨーロッパの反応を知るため様々な本を読み漁り、それを映画に反映したと公言している。映画であからさまには語られていないが、背景をさぐっていくと監督が描きたかった平和への思いが読み取れるのだ。

 今、日本は平和に感じる事も多いが世界ではまだまだ戦争などの脅威にさらされているところも数多くある。かわいい外見からは想像もつかない深いメッセージを読み取りながら本作を観ると一味違って見えるかもしれない。

(C)2014 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

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