古巣・福岡ヤフードームでの第1戦、試合前のホームランダービーで優勝、気分を良くした阪神・城島だったが、スタメン起用は巨人・阿部で控えに回された。ファン投票で選ばれ、ホークス時代熱烈声援を受けた福岡のファンに対しての凱旋試合になるはずだったのに、試合前のアトラクションだけで終わってしまったのだ。
交流戦でパ・リーグに惨敗して赤っ恥。セ首位の巨人も交流戦はパ6球団の後塵を拝し、7位の体たらくで、「パ高セ低」という新しい言葉まで定着する始末。その雪辱をすることしか頭になく、空気を読めない巨人・原監督の采配に福岡のファンは落胆しただろうし、城島本人も「試合は補欠でしたけど…」と、言葉少なに語っている。
その代わり、とった行動は大胆だった。試合前の練習中、巨人・原監督の天敵、中日・落合監督と打撃ケージ後方で堂々と20分にも及ぶ熱い話し合いだ。「右打者であれだけの実績を残した選手はいない。いろいろバッティングの話を聞かせてもらいました」。城島は日本球界初の三冠王3度の落合監督に教えを乞うたという。さらに、ベンチでは中日・和田に密着。「落合さんに直接聞けなかったことを、和田さんから聞かせてもらった」と、落合教室の延長だと説明している。
が、タイトルは打点王1度だけとはいえ、同じ右打者で巨人の4番だった原監督としたら、額面通りの話だとしても、落合監督と城島の蜜月ぶりには冷静ではいられなかっただろう。しかも、勘ぐればきりがない。阪神の守りのキーマン・城島と中日・落合監督の密談となれば、巨人包囲網の密談なのではといった、疑心暗鬼の気持ちにもなっただろう。
新潟の第2戦では城島vs原監督の興味深いやりとりがあった。先発の巨人エース・東野と組んでスタメンマスクをかぶった城島が、「東野本人の意向もあって、ふだんと違い、直球を中心にリードした」ら4失点。「巨人ファンから『しっかりリードしろ』とヤジられましたよ」という。巨人ファンにしたら、城島がエース・東野をわざとミスリード、打たれるようにし向けたのではと、疑う気持ちもあるのだろう。
ベンチに戻った城島は原監督に「すいません」と謝ったら、「ウチの投手はそんなに弱くはない」と逆に切り替えされたというのだ。すっかり落合教信者になってしまった城島に対して、原監督が神経をとがらせ、弱みをみせまいとした一幕とも言える。
さらには、落合監督と阪神・真弓監督は、昭和28年生まれの『28年会』のメンバーでもある。「監督をあきらめて出馬した」と宣言して、参院選に出馬、落選した中畑清氏も『28年会』だ。中日・落合監督と阪神・真弓監督が巨人包囲網を敷き、原監督を叩けば、中畑氏がポスト原に急浮上という図式もないわけではない。再開の巨人vs阪神vs中日の三つどもえ戦はいっそう面白みを増している。