試合は全6試合。新設された東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦がメーンに用意され、菊地奈々子(白井・具志堅)が江畑佳代子(ワタナベ)を3-0の判定で下し、初代王者となった。
集まった観衆は1450人。盛り上がりは男子に引けを取らず、リングサイドには多くの新聞記者が集まった。この興行を見る限り、女子ボクシングはまずまずの1年を送ったと言えそうだ。
さあ、では女子ボクシングの未来はどれほど明るいのだろうか。正直なところ、まだまだ手探りの状態は続いている。
集客は思ったほど伸びず、肝心のレベルは一部の選手を除いて高いとは言えない。タイトルマッチの結果は男子のように新聞に載るのか? 一般紙の記者に聞くと「どうかなあ…」との返事が返ってきた。
また、今大会のプログラムによれば、出場12選手中、30歳以下の選手はわずか4人しかいなかった。女子ボクシングの今後を考えれば、若手選手の育成は急務。試合をできる選手の絶対数を増やさなければ、思うような試合は組めない。
いや、どうにも暗い見通しばかりを並べてしまったが、歴史的に見ても最初からスパークした競技は数少ない。菊地のセコンドを務め、女子ボクシングに長くかかわってきた野木丈司トレーナーは言う。「男子だって最初はこんな感じだったと思うんですよ。これはもう、地道にやっていくしかないんです」
女子ボクサーはなぜか男子選手よりも殴り合いを好む。故に彼女たちのファイトはいつも熱い。長い目でみれば、魅力あるファイトを積み重ねることが、競技の普及、ひいては発展の近道ではないだろうか。