中田氏は28日、市議会議長に辞職願を提出した後に市役所で記者会見した。今後の政治活動に触れ「この国に残された時間は長くない。国を改めるためには何でもやる」と国政復帰に意欲を見せた。ところが、そう力説する一方で8月の衆院選や10月にも予定される参院神奈川選挙区の補選への出馬は見送るというからどうにも解せない話である。
中田氏の本当の狙いについて、永田町関係者は次のように解説する。
「横浜市民は約7年の中田市政をおおむね評価している。大阪府の橋下徹知事や東国原知事といった『国にモノ申す』首長の存在感も増し、これに一枚噛んでいる中田氏にとってはいまが絶好の“売りどき”。中途半端な姿勢で国政転身をはかり、大ブーイングをくらった東国原知事の二の舞を避けたのだろう。退路を断ち、辞めたあとで急転出馬したほうがはるかに印象がいいはずだ」
つまり、東国原氏の転身断念劇で地方自治と国政を両天秤にかけるやり方に批判が集まることを学習したというのだ。最近の中田氏をめぐっては、政治資金パーティーのチケット購入に市消防局幹部らが関与していた問題や、交際していたと主張する女性と裁判ざたになるなどネガティブな話題も少なくなかった。
市長の肩書きがなくなれば、こうしたスキャンダルも一回リセットされる。
中田氏は会見で、辞任理由について「2期(で辞任)ということは初当選から意識していた。期限を区切ってやらないと良い仕事はできない」と述べている。
この時期に辞任した理由は(1)市長選を衆院選と同日選とすることで経費を削減でき、高い投票率も期待できる(2)新市長が来年度予算案編成に取り組むことで財政の無駄を減らせる―などを挙げた。後継指名はしないとしている。
中田氏は「国民運動に全力を注ぎたい」として、松山市の中村時広市長や東京都の山田宏杉並区長と設立する政治団体を中心に活動。橋下知事らとの「首長連合」も「衆院選後の国政の検証で活動を継続させる」と説明した。