大田は東海大相模高出身で、純粋な原監督の直系の後輩。しかも、ポジションは原監督の現役時代と同じ三塁手。高校時代は通算65本塁打を放ったスラッガーで、松井秀喜がメジャー入りして以降、空きになっていた背番号55を継承した期待の星であった。
そんな大物ルーキーにも、プロの世界は甘くはなかった。1年目(09年)はわずか3試合出場で1打席ノーヒット。2年目(10年)も2試合で6打席ノーヒットと全く結果を残せなかった。3年目(11年)にして、ようやく初安打、初打点をマークしたが、26打数4安打3打点で、打率は.154。本塁打は0で自慢の長打力は発揮できず、28打席で9三振と荒削りな面を見せた。
11年シーズンは守備の不安の解消、出場機会を増やす目的で、外野にもチャレンジしたが、三塁手の村田修一をFAで横浜DeNAから獲得したため、大田は押し出されて外野コンバートが決まった。来季は登録も外野手となる。
狙うのはアレックス・ラミレスの退団で空席となったレフトのポジション。原監督は「8番打者でのびのびと育てたい」と半ばレギュラーを確約しているが、そう簡単にはいかないだろう。巨人の外野には首位打者の長野久義、高橋由伸、松本哲也、矢野謙次、鈴木尚広、ベテランの谷佳知とそうそうたるメンバーが名を連ねる。現役メジャー外野手の獲得も視野に入れているし、村田のライバルに指名された亀井義行も本職は外野手で、出場機会を求めて外野で起用されることも多いだろう。
このメンバーのなかで、プロで実績のない大田がポジションを奪うのは並大抵のことではない。大きな期待をもって入団した大田だが、来季はもう4年目。いよいよ、正念場を迎えることになるだろう。
(落合一郎)