勝ったネヴァブションと親子丼になった伊藤正調教師は「相変わらず勝ち切れないね。ネヴァは早め早めの競馬。こちらは他の馬をマークしていて仕掛けが遅れた分の差が出た格好だが、それでも結果を出すのが一流馬。まだまだだな」と不満を隠さない。
だが、厳しいジャッジを下すのも、裏を返せば期待の大きさの表れ。明けて8歳。競走馬としては晩年を迎えたが、「大事な若い時に骨折で長く休んでいたからね。その分、成長が遅れていた。もともといいものを持っていたし、ここにきてようやく体も精神面も大人になってきた」と指揮官。この年でも伸びしろは十分あるという。
ここは仕切り直しの一戦。この中間もハードトレでならす同厩舎らしく、美浦の坂路2本追いで鍛えられてきた。14日に800メートル53秒0、51秒9をマークすると、1週前追い切りになった18日には1本目に52秒2、2本目に51秒6、ラスト1F12秒7を叩き出した。
「前走後は厩舎に置いてじっくり調整してきた。去年の秋から使い込んでいるが、きちんとガス抜きもできているし、心配ない。動きは良かったし、順調にきているよ」
中山記念は3年連続で出走して(4)(2)(3)着と安定した成績を残しており、別定の57キロで出られるのもプラス材料だ。
「去年とは馬が違っているのは確か。ふだんもゆったりしているし、落ち着きが出ている。能力的にはまともならGIのひとつやふたつは獲っていておかしくない。ちょっと遅れたけど、こちらが思い描いている理想の形にだいぶ近づいてきているから」
紆余曲折を経て、ようやく完成の域に入ってきたエアシェイディ。
「今年の最大目標は秋の天皇賞。そのためにも、ここでどういう結果を出すかだ」。トレーナーは内容よりも結果重視、あくまでも勝ちにこだわる。