「(7月)19日にセ・リーグ営業担当者が会議を開き、そこで阪神の後半戦の日程を『調整』します。10月13日からクライマックスシリーズ(以下=CS)に入る予定でいますが、リーグの意向としてはCSの日程を変えずに、その2日前にペナントレースの全日程を終了させたいと思っています」(球界関係者)
阪神は雨天中止の影響を強く受けたのだ。屋根のない甲子園球場を本拠地としているせいもあるが、前半戦に消化できなかった主催試合が「9」。しかも、8日のDeNA戦の試合開始前、翌9日から予定していた広島3連戦が「中止する決定」が阪神に届けられた。西日本を襲った豪雨被害の影響である。3連戦の舞台となるマツダスタジアムには被害はなかったが、移動の交通機関は麻痺している。被害に遭われた人たちのことを思えば、試合を行うべきではない。9日からの3連戦中止を広島球団が決め、リーグもそれを承認した。
「前半戦終了時点で、ここまで『雨天中止』が多いのは記憶にない。9月に入れば台風の影響も出てくるでしょう」(前出・同)
セ・リーグ営業担当者会議で阪神の未消化分の試合をどう組み込み、消化させるかを決定する。一部報道によれば、「9月は20連戦以上になる」という。ペナントレースの終盤戦はもっとも重要な時期だ。その時期に長期連戦が人為的に組まれた場合、苦しい状況に追い込まれる。
「まず、救援投手陣はつらいでしょうね。阪神のチーム打率はリーグワースト。味方打線で点を取ってくれない以上、1点もやれない状況でのピッチングとなります。誰か一人でも故障で欠くようなことになったら…」(スポーツ紙記者)
ダブルヘッダーも検討されている。とはいえ、営業的なことを考えれば、「一日2試合」はやりたくない。一枚のチケットで2試合分となれば、人気球団だけに収益は半分に落ち込む。観客を入れ替えるとしても、混乱が予想されるため、通常以上のスタッフと警備員を配置しなければならないからだ。
「試合が連日続くよりも、ダブルヘッダーで一日でも休日を設けたほうがいい。営業的には申し訳ないが、20連戦以上になるのを防ぐ意味でダブルヘッダー案については阪神が折れると思う」(前出・同)
阪神内部からは「体力面はキャンプで鍛えてきたから」との声も聞かれたが、本心ではないだろう。
「強行日程のキーマンは藤浪とロサリオ。実績のある藤浪を先発ローテーションに入れ、中4日でフル回転させるしかない」(前出・同)
ロサリオをスタメンに戻すとなった場合、目下、4番を務めている陽川とポジションが重複する。また、金本監督だが、ここまで藤浪が先発した試合を見る限り、試合序盤に救援投手に肩を作らせてきた。ノーコン病で試合をぶっ壊されるのがコワイからで、仮に藤浪が6イニング以上を投げたとしても、「救援陣は肩を作りながら待機」となり、実際の登板がなくても救援陣は体力を消耗させる試合となっていた。
「藤浪が1つでも四球を出すと、金本監督はイラッとした表情に変わります」(関係者)
藤浪が信頼を取り戻し、長いイニングを投げてもらうしかない。
8月は「夏の甲子園大会」のため、長期遠征となる。こちらは毎年のことであり、宿泊ホテルの快適な設備で「体力の消耗はない」というが、長期遠征の後に過密スケジュールとなれば、やはりリスクは大きい。
「雨に負けた」。終盤で失速し、優勝、クライマックスシリーズ進出を逃したとき、指揮官からそんな言い訳が出なければいいのだが…。(スポーツライター・飯山満)