そんな状況で、コツコツと頑張ってきた全日本プロレスと、昨年、新体制に生まれ変わったプロレスリング・ノアの老舗2団体が巻き返しを図っている。全日本はエースの宮原健斗を前面に押し出す一方、秋山準ら重鎮たちが脇を固める。試合のレベルを落とさずに、ジャイアント馬場さん時代から受け継がれている「安心、安定」のプロレスを提供し続けている。現時点でビッグマッチの発表はないが、今年も横浜文化体育館クラスでのビッグマッチ開催が予想される。
あえて新日本にぶつける形で、1.4、1.5後楽園ホール2連戦を決行するノアは、今年が20周年記念イヤーとあって、どんどん攻めていくことになりそうだ。既に2.24愛知・名古屋国際会議場、3.8神奈川・横浜文化体育館、5.2東京・大田区総合体育館での上半期3大ビッグマッチを発表。『プロレス見たけりゃNOAHに来い!』をスローガンに、この3大会の札止めを狙う。
インディー界ではDDT、ドラゴンゲート、大日本プロレスが、大田区や両国国技館クラスの大会場で大会を開催しており、DDTは6月7日に埼玉・さいたまスーパーアリーナに再進出する。その他、インディーは団体が乱立しているが、一石を投じる可能性がある団体が1.25東京・新木場1stRINGで旗揚げをする。インディー統一連合『TTT』(トリプルティー)だ。
昨年12月に行われた旗揚げ会見ではガッツ石島、TORU、マスクドミステリー、佐山駿介の4選手が所属選手として紹介された。TORUと佐山はインディーの各団体が欲しかった選手だっただけに、業界内ではちょっとした話題になっている。
この団体に可能性を感じるのは、広告代理店である株式会社イロノハがスポーツ事業部を立ち上げて設立したこと。同社は既に真GUTS軍興行や、商店街プロレスなどを1年以上にわたり手掛け、プロレス運営のノウハウを構築してきた。かなりの準備期間を経て、TTTを設立したのである。石川國由CEOは「選手ファーストの団体を作らなければいけない」と話しており、インディー界ではTTTが台風の目になるかもしれない。TTTは最低月1回の興行を開く意向だが、DDTたまアリ大会と同日に新宿FACEでビッグマッチを開催する。
今年はオリンピックイヤー。都内の会場はなかなか取りづらく、地方でのビッグマッチも増えるのではないだろうか。世界中が日本に注目する2020年は、日本が誇るプロレスにも目を向けてもらえるよう各団体に期待したい。
(どら増田)