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それは“慣習”ではなく“悪習” 高安対御嶽海戦でも投じられた座布団

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 大相撲の世界において、しばしば展開される光景である“座布団の舞”。横綱が格下力士に敗北を喫した取組後に、観客が自身の座席に設けられている座布団を土俵へ投げ入れる行為だ。現地や中継で目にしたことのある人も多いだろう。

 しかし、半ば“風物詩”ともなっているこの行為は、そもそも禁止行為である。日本相撲協会の公式サイトに掲載されている「大相撲観戦時のお願い」(観戦契約約款)でも、「客席、場内その他への物投げ行為」は禁じられている。

 ただ、この一文が効力を発揮しているかというと、残念ながらそうではない。“伝統”や“慣習”といった耳触りのいい言葉の元、座布団を手にする観客は後を絶たない。また、最近ではその範囲は横綱戦以外にも広がりを見せている。

 19日に行われた名古屋場所12日目の結び、大関高安対関脇御嶽海戦でもそれは起こった。物言いの末に高安が勝利を収めたこの取組後、観客の一部はここぞとばかりに座布団を投下。NHKの中継画面にも、そしてインターネットテレビ局「AbemaTV」の中継画面にも、その様子ははっきりと映し出されていた。

 全勝の御嶽海に高安が意地を見せたという取組結果に、エキサイトしてしまう気持ちは分からなくもない。しかし、だからといってそれが座布団を投げていい理由には断じてならない。

 中継をご覧になっていた方は分かるだろうが、今回投じられた座布団の中で土俵上まで届いていたものはほぼ皆無。つまり、ほとんどの座布団が客席から客席に投げ入れられている。

 “蛮行”に走る人は得てして、自らの座布団を思いっきりぶん投げる。加えて、座布団にはそれなりの重さもある。そのようなものが後方から襲ってくるのだ。他の観客、特に子供やお年寄りの頭や首に直撃したらどうなるか。考えなくても分かることだろう。

 重大な事故にも繋がりかねない座布団投げは、“慣習”ではなくただの“悪習”。長らく黙認されてきたこの問題に、協会や好角家たちは今一度向き合うべきではないだろうか。

文 / 柴田雅人

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