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トラの緊急トレードに「何故?」の声

 緊急トレードが成立した。故障者続出の真弓阪神が埼玉西武の黒瀬春樹内野手(26)を獲得した。その放出要員が貴重な中継ぎ左腕の江草仁貴投手(30)だったからか、一部OBと虎ファンは「何故!?」と戸惑っていた。
 「平野、鳥谷、大和が故障し、小林宏の人的補償で高濱卓也を千葉ロッテに流出しています。二遊間を守れる内野手の頭数が足らなくなったのも事実ですが、平野、鳥谷は早期復帰の目処も立っていましたし、3年目の上本博紀、新人の荒木郁也もいます。焦る必要はなかったし、フロントが内野手不足の現状に我慢できなかったのでは…」
 プロ野球解説者の1人がそう首を傾げる。

 今季は最下位に転落するなどチームに勢いがない。しかし、「出口の見えないトンネル」というわけではなかった。
 江口は07年より3年連続50試合以上に登板した。今季は二軍スタートとなったが、左のセットアッパーだ。内野手の人材難とはいえ、明らかに釣り合わない交換トレードである。関西系の一部メディアでは「格差トレード」なんて見出しも踊っていた。
 「トレード先の西武と交流戦をやっていたわけですから、阪神ナインもびっくりしていました」(前出・同)
 黒瀬は一軍出場数が「62」。昨季は僅か8試合に出ただけだ。守備力には定評があるそうだが、「課題の打撃不足」(同)とのことなので、鳥谷や平野が完全復帰した際には“余剰人員”になりかねない。
 「江草が4000万円で、黒瀬が600万円。阪神はチーム平均年俸が3年連続12球団トップです(選手会発表)。総年俸もトップに返り咲いたので、人件費のこともあったんじゃないですか(笑)」(プロ野球関係者)

 黒瀬にはこうした“低評価”を覆して貰いたいが、こんな指摘も聞かれた。
 「阪神の課題は『左投手不足』です。新人の榎田がセットアッパーとして活躍しており、江草の働き場所がなくなったともいえます。でも、先発陣では42歳の下柳(左投手)に代わる左腕投手がいません。榎田を先発枠に昇格させるのが良策ですし、そうなると、江草はやはり必要なコマなんです」(同)

 現時点では憶測の域を出ていないが、阪神は今オフ、国内FAを取得したソフトバンクの杉内俊哉に熱視線を送っているという。江草を放出して、また余所から左投手を補強する−−。そんな矛盾した戦力補強に阪神OBは驚いているというのだ。
 「西武も左投手が不足しています。江草はかなり期待されています」(在京球団関係者)
 双方がプラスに転じるのがトレードの目的だが、それは理想論にすぎない。小林宏を獲得し、「千葉ロッテは金銭補償を求めてくる」と読み間違えたのが、失敗の始まりなのだ。成長株の高濱を一本釣りされ、かつ小林宏の衰えが著しいことも見抜けなかった編成スタッフのミスである。トレード発表の前日、阪神は定例のオーナー報告を行い、「交流戦残り19試合で勝率5割復帰」(23日時点)を“厳命”されたという。
 今オフ、もし本当に杉内がFA権を行使すれば、阪神も獲得に乗り出すだろう。そのとき、「江草放出」の矛盾をどう説明するのだろうか。

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