東京ドームでの2戦を振り返って、巨人OBが原監督を次のように評価する。
「監督としての風格が出てきたというか、実に落ち着いている。選手を信頼しているからで、それはとりわけ鶴岡捕手のリードに表れていた。西武の打者の内角を攻めさせながら、2試合で四死球は上原の2個だけ。西武の11個と比較すれば、いかに巧みにリードしているかが分かる。阿部不在でも何の心配もないことを立証したのは、大きい」
鶴岡は2戦目、先制の犠飛を放っているように打つほうでも勝利に貢献。阿部が代打か指名打者で使えるのは、戦力に厚みを増す利も見逃せない。
2試合とも本塁打で決着しているものの、最多得点は巨人の3点。バッティングがいかに水物であるか証明された。今後も鶴岡と投手陣が勝敗の行方を左右すると見て間違いないだろう。スポーツ紙デスクが言う。
「投手力の差が出てくるとすれば、これから。今夜は内海と石井一、両左腕が先発するが、どこで2番手にスイッチするかがポイントになる。重要な3戦目だけに両チームとも早めの継投があっておかしくないが、おそらく巨人有利なのではないか」
そう予想するのは中継ぎ陣に差があるからだ。
出番があったのは、巨人は越智と西村健。西武は初戦でセーブをあげたグラマンと、2戦目は大沼ら4投手。まだ手探りの感があったとはいえ、違いは歴然としていた。
「巨人有利が動かないのは、この継投陣の優劣がはっきりしているから。巨人の2投手は自信を持って投げているが、西武はいつ、ほころびが出てもおかしくない。日本シリーズは延長が15回まであるだけに、巨人には、まだ山口、東野がいるしクルーンを温存している。むしろ、このままクルーンが出てこないパターンが望ましいけどね(笑)」(前出・巨人OB)
第4戦には17勝と勝ち頭のグライシンガーが控えている。初戦の先発が予想されながら4番手に回されたのは、交流戦の西武戦で2戦2敗と振るわなかったからだろう。
「グライに頼らなくても勝負になると原監督が判断したからでしょう。リーグ優勝、CS突破で投手陣を把握した首脳陣の判断によるが、プライドが高いのが外国人選手。グライが気合の入ったピッチングをするであろうことも、計算済みではないか」(同)
3日の文化の日の叙勲で渡辺球団会長が今回の最高位、旭日大綬章を受章。今夜の勝利はそのお祝いにもなる。
「日本一になれば、原監督が終身監督に指名されておかしくない。それはWBC2連覇の追い風にもなる」(前出・デスク)
原監督が名監督の仲間入りするのが、目前に迫ってきている。