ノーベル賞軍団と鳩山首相にタッグを組まれてはさすがの蓮舫氏にも勝ち目はない。行政刷新会議の連日にわたる事業仕分けで、とりまとめ役の蓮舫氏は、ニュースキャスター出身だけあって事業者らに厳しい質問や追及を連発。ジャッジされる側が「そんな一方的に」などと思わずヒステリックに反論する場面さえあった。
それでも、クール&ドライに職務を全うする蓮舫氏に「イヤな感じ」などと嫌悪感を示す国民は少なくない。蓮舫氏はそれを承知の上で悪役を引き受けたわけだが、大ボスの鳩山首相が敵方に理解を示してはいいツラの皮。あえて厳しく事にあたっていただけに、屈辱以外の何物でもない。
首相は同日夕、蓮舫氏らに厳しい判定を受けた化学技術予算について「即効性は認められないが、長い年月で大発見に導かれることもある。研究開発は日本の大きな知的財産だ」と述べ、判定見直しにあらためて理解を示した。
さすがに「重要な研究でも本当に削るところがないのか、議論はあってしかるべきだ」と指摘したものの、この日、文部科学省の政策会議で事業仕分けを批判したノーベル化学賞受賞者の野依良治理化学研究所理事長と近く会って考えを聞く意向も表明した。
これに関し、菅直人副総理兼国家戦略担当相は25日、仕分け作業の視察後、記者団に「私なりにしっかりと全体を把握したい」と、判定を見直す考えを重ねて表明。平野博文官房長官も会見で「一つの大きな政治判断がある気はする」と述べた。要するに蓮舫氏らだけに嫌われ役を押し付けようとする姿勢なのである。
ノーベル賞軍団はほっと胸をなでおろしているに違いない。科学技術予算に削減や見直しが相次いだことに対して25日午後には、日本を代表する学者や研究者が記者会見して「科学全体の問題」「見識を欠く」など厳しい言葉で批判した。ノーベル賞受賞の江崎玲於奈、利根川進、野依良治、小林誠の各氏と、フィールズ賞受賞の森重文氏は東京大で会見した。