少々間隔があいてしまったが、今回は船橋・柿本男厩舎所属の新人ジョッキー・笠野雄大騎手(19歳)を紹介したい。
「これは、やんちゃ坊主だな」那須の地方競馬教養センターで笠野雄騎手に初めて会ったときに、ピンときた。センターの先生方が総じて、「控えめでおとなしい」という今年の第85期生の中で、随所に見せる少年らしい笑顔がいたずらっ子のようで印象的だった。東泉良明センター所長が、「一番元気が良くて、技術的なセンスもあると思います」と評した“元気印”クンは、すぐに先輩ジョッキーたちにもなじんだ。
デビューから2カ月で17戦。初勝利はまだだが、「馬上での安定感がすごい。見習いたい」と目標に掲げた石崎駿騎手に付いて猛勉強を積んでいる。深夜1時には起床し、調教で1日15頭前後の馬にまたがる。「センターの馬とはまったく違うし、柿本先生には『乗り方が甘い』と注意されます。まだ馬に引っ張って行かれてしまって」と悪戦苦闘する毎日だ。
「あなたは赤が似合うから」“鶴のひと声”ならぬ母のひと声で勝負服は紅白に決めたという少年はプロとして独り立ちしようと奮闘の日々を送っている。その濃密な時間がコンガリと焼けた肌とリンクする。
「南関東の(騎手の)層が厚いところに穴をあけていきたい」目標に向かって一直線に突き進む。これから笠野騎手の表情がどう変化していくのか。ゾクゾクするような成長を期待している。