話術が達者で、面倒見も抜群。気配りとフォローもできるため、今後ますます重宝されるであろうイノッチ。だが、ジャニーズ事務所に入所した小学6年生から数年間は、不遇の時代が久しく続いた。庶民的な顔立ちが災いして、雑誌などには登場させてもらえなかったのだ。
ところが、95年に“年長組”としてV6に加入。『ミュージック・ジャンプ』(現『ザ少年倶楽部』)の司会を持ち回りで務めるようになってからは、仕切るという才能を開花。唯一無二のポジションを確保しはじめた。
司会業をはじめたこのころ、同番組の収録場所であるNHK本部ビルのトイレで怒鳴られたジャニーズJr.がいる。本番前、列に並んでいたその子の前に突然、井ノ原が疾走してきた。「おいっ、替われ!」という大きな声でそのJr.を押しのけた井ノ原は、列を無視して横入り。あっさり個室に入ってしまった。
その剣幕の凄さと、大の先輩であるという恐怖で、後ずさりするしかなかったJr.は、のちの嵐・相葉雅紀。20年近く前に起こった“NHK事件”を、国民的大スターの相葉は今でも覚えているという。
このときはまだ、ふたりが“紅白”の大舞台で再会をはたす日が来るとは、夢にも思わなかったに違いない。