『白い巨塔』は山崎豊子原作による医療ドラマであり、大学病院の権力闘争、医療ミスを隠す医学界の腐敗などを描いた社会派の作品である。腕は確かながら権力欲と非情さを合わせ持った主人公財前五郎と、患者の立場を優先する熱血漢の里見脩二という対照的なキャラクターが際立つ作品だ。
財前は岡田が演じることが事前に発表されていたが、対する里見は松山ケンイチが演じる。さらに、財前の愛人で医学部中退の経歴を持つ魔性の女、花森ケイ子を沢尻エリカが演じる。そのほか物語のキーマンである、財前の恩師である東貞蔵を寺尾聰、恩師となる鵜飼裕次を松重豊が演じる。大学内の権力闘争を苦々しく眺めながら、誠実に医療へ向き合う病理学の大河内恒夫は岸部一徳といった並びである。だが、これらのキャスティングに「イメージと違う」といった声がネットでは相次いでいる。
「『白い巨塔』でよく知られているのは、2003年にフジテレビ系で半年にわたってドラマ化されたシリーズでしょう。財前を唐沢寿明、里見を江口洋介が演じています。腕は確かながら冷徹な財前に対し、暑苦しいほどの医療バカともいえる里見が対照的でした。両者は医療ミス裁判を巡って対立関係に陥るも、最後は固い友情で結ばれる様は感動を呼びました。そのほか、伊武雅刀、石坂浩二、西田敏行と“昭和の顔”の俳優も話題となりました。このドラマのイメージが強すぎるので、イメージのギャップが生まれているのでしょう」(芸能ライター)
ネット上では「そもそも岡田が財前のイメージに合わない」「マツケンが江口洋介クラスの演技できるのかね」「東教授、寺尾聰と石坂浩二じゃ全然イメージ違うわ」「鵜飼教授は松重豊じゃない。やっぱりうさんくさい伊武雅刀が最高」といった声が聞かれた。だが、03年版では黒木瞳が演じた財前の愛人役を沢尻エリカが演じることに関しては、「これはハマリ役かも。エロいシーンにも期待」といった声が聞かれた。さらに、医療ミスで夫を亡くしてしまう佐々木よし江は、03年版ではかたせ梨乃が演じているが、今回は岸本加世子が演じる。こちらも「幸薄そうな感じは岸本もいい味出しそう」といった声が聞こえる。
最新版「白い巨塔」は期待と懸念が入り交じるキャスティングとなったのは確かなようだ。何より、岡田准一がどこまで渋みのある演技を行えるかが、ドラマの成功の秘訣といえるかもしれない。