同社によると、運転士は8月14日午後、140円の入場券を使って、名古屋駅に入場。東海道新幹線に乗って、品川駅で下車した。その際、有人改札で、「乗車券を持ち帰りたい」と申し出たが、正規の印字と異なっていることに駅員が気付いた。
事情を聴いたところ、不正な乗車券類の使用を認めた上で、あくまでも「他者から譲り受けた」と主張したため、警察に通報。運転士は同15日朝、詐欺未遂に疑いで、警視庁高輪署に逮捕され、9月4日に起訴された。
偽造されたのは、名古屋〜東京間の乗車券、自由席特急券(計1万360円相当)。社内調査に対し、運転士は5年前まで品川駅に勤務していた際、乗車券類の原紙を不正に持ち出し、自宅のプリンターで偽造したことを認めた。「初めてやった」と話しているという。事件当日は夜勤明けで、私用で乗車した。同社で、社員による乗車券偽造は初めてのこと。
運転士は07年4月入社で、品川駅員や新幹線車掌を経て、11年10月から新幹線運転士を務めていた。
同社では、社員に管内の乗車運賃無料となる「職務乗車証」が支給され、回数制限はあるが特急料金が割引になる制度があるという。それを利用すれば、かなり安く新幹線を利用できるのだが、それでも偽造をしてまで、金を払いたくなかったのか…。
同社は「社員が鉄道業従事者として、ふさわしい規範意識を持つよう、社員教育を再度徹底するとともに、今回の事象を踏まえて、乗車券類用の原紙の管理方法を見直してまいります」とコメントしている。
(蔵元英二)