11月23日の新馬戦(京都)で落馬。右腕の尺骨骨幹部骨折という重傷を負い、年内の復帰は絶望的といわれたが、超人的な回復力を見せ、今週の朝日杯FSで復帰することが決定。この朗報を聞くや、高橋成調教師の顔が緩んだ。
「絵になる男やからな。そういう星のもとに生まれてきたジョッキーとともに有馬記念に出られるのはうれしい。いい状態で出したい」
武豊“不在”で迎えた国内復帰戦のジャパンCは6着。復活を望んだファンにとっては少々、不満の残る結果となったが、指揮官は下を向いていない。
「インコースの馬場が良かったら、もっと伸びていた。上がりの速い競馬では持ち味が出せない。それでも0秒5差しかなかったんだからね。このクラスの競馬は展開ひとつで着順は変わってくる」
敗因も探せばないわけではない。遠征先のフランス、検疫中の東京競馬場ではいずれもコースだけの調整。栗東の勾配のきつい坂路をメニューに取り組めなかったことが、サムソンに何らかの影響を与えたという可能性はある。
今回は坂路→コースのいつもの調整パターン。師が「元気がありすぎて困る」と苦笑いするほど、この中間は、本来の姿を取り戻している。過去の有馬記念の結果、(5)(8)着が示すように、毎年、冬は状態が下降線をたどっているが、「今年はいつもの秋口の状態をキープできている。去年とは違う」と断言する。
「厄介なことになると思えば彼は乗らないはず。“絶対乗る”という意気込みを聞いて、こちらも一生懸命調整している。どちらにとってもこれは素晴らしいことじゃないかな」
果たして、感動的なフィナーレを迎えることができるのか。グランプリはあと11日に迫っている。
【1週前追いVTR】坂路を1本軽く上がった(800メートル82秒1)後の2本目に追われた。パワフルな走りは依然、健在。ラストで軽くハミをかけられると馬体を沈ませ、力強くゴール板を駆け抜けた。降雨の影響で馬場コンディションが悪いなか、800メートル53秒3→39秒1→13秒1の時計が出れば及第点。気合乗りも上々で、ラストランへ向け、態勢は着々と整いつつある。