伊東勤監督にとって、涌井は西武時代の教え子とあって、ロッテがFA宣言後、熱烈ラブコールを送り、11月19日に初交渉に臨んだ。ところが、渋チンであるロッテだけに、涌井を満足させる条件提示がなかなかできず、長期戦となったが、2年4億4000万円(推定)プラス出来高で合意した。
涌井は地元となる千葉県松戸市出身。04年ドラフト1位で指名され、西武入り。06〜10年まで5年連続2ケタ勝利をマーク。07、09年には最多勝のタイトルを獲得し、文字通り、西武のエースの座に君臨した。
しかし、11年は9勝(12敗)止まり。12年は不振のため、シーズン途中にクローザーに回され、1勝5敗30セーブ。先発に戻った今季も、本来のピッチングができず、途中からリリーフに降格し、5勝7敗7セーブ、防御率3.90と不本意なシーズンに終わった。来季、恩師である伊東監督のもとで、復活を懸ける。
また、他のFA選手については、阪神の慰留を振り切ってDeNA入りした久保康友投手(33=奈良県出身)以外の7選手は、「○○に行くだろう」との宣言当初の予想通りの展開で、無風状態だった。
西武・片岡治大内野手(30=千葉県出身)は巨人に、日本ハム・鶴岡慎也捕手(32=鹿児島県出身)はソフトバンクに、ソフトバンク・山崎勝己捕手(31=兵庫県出身)はオリックスに、広島・大竹寛投手(30=埼玉県出身)は巨人に、中日・中田賢一投手(31=福岡県出身)はソフトバンクに移籍し、涌井を含む6選手が“里帰り”となった。
巨人・小笠原道大内野手(40=千葉県出身)は、落合博満GMとの師弟関係が縁で、中日入りした。
(落合一郎)