まだ、巨人には“ブランド力”があるということだろうか。
巨人の補強ポイントははっきりしていた。先発スタッフの再整備と、近年欠けていた正二塁手である。2013年と昨季の先発スタッフを比較すると、以下の通り。
12年 チーム=86勝43敗15分け
13年 同=84勝53敗7分け
勝敗表での大差はないものの、先発投手に付いた勝ち星は−−。
12年=62勝35敗
同・先発投手の防御率=2.35
13年=59勝41敗
同・先発投手の防御率=3.52
防御率が1点以上も悪くなっている。杉内俊哉の後半戦離脱、宮國、澤村の不振が響いた。力の衰えたホールトン(9勝4敗)との契約を見送っており、2年連続2ケタ勝利の持った大竹寛に白羽の矢を立てたのである。 『先発スタッフの再整備』と言っても、メンツが代わることはないだろう。内海、杉内、澤村、菅野の4人と大竹が軸。ここに、宮國と、終盤戦に頭角を現した2年目の今村信貴、ファームで“先発コンバート”された阿南徹、98イニングを投げた江柄子裕樹の4人が『6番目の先発枠』を争う図式だ。
今村の成長を見ると、人員補充は「さほど必要なかった」との声も聞かれた。しかし、33歳の杉内は自己最多となる197回3分の2を挙げた07年以降、投球イニング数が毎年減っている。巨人1年目の12年は163回で、今季は153回。故障離脱した期間を考えれば「よくやった」とも言えるが、首脳陣は「完投、先発した試合は7回以上投げる」といったレベルまでの復調は無理と見ているそうだ。シーズンを通して先発ローテーションを守るのも厳しいと判断したとすれば、念を入れたような大竹獲得にも合点が付く。
また、来季の二塁手構想だが、片岡を軸に考えている。「ポジションの重なる井端弘和まで獲って…」と批判もあるが、「片岡は近年、故障が続いているので(来季の)フル出場は無理」というのが、巨人首脳陣の考えだ。井端は遊撃手・坂本勇人と『二塁手・片岡』のバックアップ要員で、井端、片岡の両方の調子が良ければ、どちらかに一塁を守らせる案もあるという。
生え抜きの正二塁手候補たちについて、こんな評価も聞かれた。
「ポストシーズンマッチで活躍した寺内は片岡と同い年で、もう若手扱いできない年齢。中井は8月4日の阪神戦で(二塁守備で)ダイビングキャッチをして故障したが、『飛び込む必要がない場面で…』と、首脳陣は見ています。本来は一塁手ですし、一人前になるまで、あと1、2年は掛かるというのが首脳陣の見解」(球界関係者)
大竹、そして、ポジションの重複する井端と片岡の獲得に関して、巨人なりの考え方があるようだが、バックアップ要員まで外部補充するとは、やっぱり、巨人も他球団が羨む補強資金を持っていると言わざるを得ない。