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大物俳優が遺した石に守られるジャニーズ・中居正広

 灯が消えるまで、あと50日−−。解散までのカウントダウンがはじまったSMAPの周辺が、再びにぎやかになってきた。中居正広は今年、人生の大半を注いだグループの解体という、初の経験をする格好だ。

 さかのぼり昨年(15年)は、最愛の父・正志さん(享年79)を、喉頭がんで亡くしている。この2年は中居にとって、生涯忘れられない月日になることだろう。

 正志さんが闘病生活を送っていた昨春、あるスペシャルドラマが復活している。中居主演の『新ナニワ金融道』(フジテレビ系)だ。借金にまつわる人間模様を描いた同作は、96年にスタート。以降、レギュラー化のプランが何度もあがったものの、「息の長い作品にしたい」というスタッフ、キャストの意思のもと、およそ19年にわたって不定期で放映されてきた。

 同作は、中居主演の単発ドラマでは自己最多となる6作が制作。だが、05年を最後に、小休止に突入していた。その理由は、作品の舞台である帝国金融の社長役で、初回から欠かさず出演していた緒形拳さんの逝去(08年)が大きかった。その後の10年は、さまざまな代替プランがあがったが、最終的には、緒形さんが遺影や回想シーンで“出演”。新社長を、ベテラン俳優の綿引勝彦が演じることで落ち着いた。

 撮影のクランクアップの日、現場に、小さな座布団の上に置かれたパワーストーンがあった。中居が持ちこんだものだった。それは96年のパート2を撮影時、緒形さんが中居に、「これは中居くんのことをきっと守ってくれるから、持っておいて」といわれてもらったものだ。ストーンの真意は定かでないものの、以来、中居は「常に見えるところに」という気持ちで、リビングの棚に飾っていた。

 2人が初めて会ったのは、中居がまだ24歳あたり。芝居経験が浅く、SMAPとしても発展途上の身だった。30歳以上年の離れた中居に対して、緒形さんは優しく接し、共演者がアヤしむほど距離を縮めてくれた。しょっちゅう食事に誘ってくれては、いろんな話をした。なぜ、あれほどまでに心を許してくれたのかは、不明。中居にとって緒形さんが、かけがえのない存在になったのは当然だ。

 緒形さんと共演した96年には、中居の初主演ドラマ『味いちもんめ』(テレビ朝日系)の第2シリーズがオンエア。共演者で、その後、大の親友になった今井雅之さんも、父が逝ったおよそ3か月後に他界している。

 最愛の父と親友がこの世を去り、尊敬する大先輩が作品で“復活”した昨年。15年は、中居にとって深い意義ある歳月だったに違いない。

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