春の目黒記念を0秒8差で圧勝した実力は本物だった。好スタートから主導権を取ったミヤビランベリがまんまと逃げ切り勝ちを収め、重賞4勝目を挙げた。
「先生(加藤敬調教師)からは『馬の気分に任せて』といわれていました。とくにハナにはこだわっていなかったが、スタートが良かったので行っちゃおうと」と殊勲の吉田隼騎手。
1000メートル通過が1分0秒2、2000メートルが2分1秒7と絶妙なペース。直線では2番手から猛追したアーネストリーにいったん交わされたが、ここからがこの馬の真骨頂。持ち前の勝負根性を発揮すると、逆に1馬身差をつけて勝利のゴールへ飛び込んだ。
「しぶとい脚があるのが分かっていたから、あきらめずに追っていたら、差し返してくれました」と吉田隼。「馬のおかげです」と謙そんしたが、まったくのテン乗りで結果を出したあたりが、ジョッキーとしての成長の証し。菊花賞のフォゲッタブル(2着)ではハナ差で涙をのんだが、見事に雪辱を果たした。
一方、管理する加藤敬師も笑顔いっぱい。3番人気に推された前走の札幌記念では14着に惨敗していただけに、喜びもひとしおの様子だ。「前走はプラス10キロの数字以上に重かった。気候のいいところでノンビリしすぎたみたい。今回は絞れていたし、最後はいい根性を見せてくれたね」
昨夏の福島の七夕賞で重賞初Vを飾ってから、これで4つ目のタイトルをゲット。6歳になったが、まだ進化の途中だという。「デビュー2戦目で骨折して1年以上休んだからね。まだ脚にはボルトが入っている。昨年の七夕賞が53キロ、今年は57キロで勝ったのを見てもらったら分かるように、力をつけている。イレ込む馬だったが、今はずいぶんと落ち着きが出てきたから」と精神面の充実を強調した。
気になる次走については「未定」としたが、「ここまできたら選択肢が限られるから」。まだ体質的な弱さが残るため、ジャパンCはパスし、暮れの有馬記念に向かう模様だ。
過去2年の覇者はGIホースに輝いている縁起のいい重賞。長距離の逃げ馬として確固たる地位を確立した個性派から目が離せない。