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野球 上田武司氏が斬る!原巨人貯金術とは?

 ペナントレースが開幕して10日。セ・リーグではV3を目指す巨人が、最大のライバルと目される阪神との伝統の一戦に勝ち越し。首位をガッチリとキープした。リーグ3連覇に向けて早くも“貯金生活”に入った巨人だが、今後フトコロを暖めていくために必要なこととは何なのか。野球評論家の上田武司氏が、今季の戦いぶりを振り返りながら分析した。

 巨人は、広島との開幕3連戦こそ2敗1分とつまずいたものの、横浜を3タテし盛り返した。
 「横浜は主砲の村田がケガで欠場していて打線の攻撃力は落ちる。投手陣も同じ4、5番手のピッチャーでも、明らかに(横浜の方が戦力が)落ちる。このタイミングで横浜戦が組まれていたのはラッキーだった。3連勝は当然だったかもしれないけど、そこで3連勝できたのは大きい」。横浜戦との3連戦が流れを引き寄せたと上田氏は指摘する。

 波に乗った巨人は、続く阪神戦で連勝を5まで伸ばし、無敗で1週間を終えた。連敗スタートから一転、連勝街道を突き進む原巨人だが、その背景には世界一の指揮官の思い切った決断力が関係している。
 横浜戦ではオープン戦で絶好調だった李承(イ・スンヨプ)が打撃不振と判断するやいなや途中交代。8日にスタメンから外すと、5番に谷佳知や亀井義行を起用。これが大的中し活躍を見せた。さらに故障の阿部慎之助に代わってスタメンマスクを被った鶴岡一成も大暴れ。原監督の采配がピタリと的中した。
 「毎日選手を見ていれば、バッティングの間の取り方が違っているのも分かる。(選手の調子を見極める)判断力は優れていると思う。でも、それだけじゃない」
 的確な采配を生み出している要因は他にもあるという。
 「選手を乗せるのがうまい。練習を見ることができなかった選手がいたりしたら、自分から声をかけて聞いたりしている。今日も若手の東野(とうの)や脇谷に監督の方から声をかけていた。普通、監督からの方から声をかるなんてことはそうそうない。それだけ期待されれば選手もやる気になるでしょう」
 原監督は自分から選手に握手などを求め、積極的にコミュニケーションを図り、選手ひとりひとりのモチベーションを向上させる。人心掌握術に長けているというのだ。
 指揮官のさえわたる采配によって1週間で、貯金3を作ることに成功した巨人。リーグ3連覇に向け、もちろん貯金は多ければ多いに越したことはない。
 上田氏は「首脳陣は早く貯金を10にしようと思っているんじゃないかな。貯金が10あれば、連敗してもそんなに(上位のチームと)離されることはない。余裕をもってペナントを進めることができる。手元に貯金が1万円あるのと100万円とでは安心感が違うよね。それと同じ。まずは、どこかにカモにする球団…銀行を作らないといけない。去年だったら横浜だった。貯金は20くらいが理想的かな」という。
 貯金を作るのは容易ではない。現在は抑えの守護神クルーンが安定しないという悩みを抱えている。12日の阪神戦では、1点リードの9回に登板し、同点となるタイムリーヒットを許している。「クルーンが打たれたってのは不安材料。でも、そこが安定してくれば貯金は自然と増えてくるでしょう」
 リーグV3へ。貯金を増やすためにも、今後は守護神起用の決断力が問われる戦いになりそうだ。

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