「そもそも、高井を外野手にコンバートした背景に、青木(宣親)の去就問題が絡んでいるんです」(関係者)
青木は06年オフの岩村明憲内野手のメジャー移籍以降、空き番号となっていた『背番号1』を継承。そのお披露目には、同背番号をヤクルトの中核打者の象徴にまで押し上げた若松勉・元監督も駆けつけていた。名実ともに『ヤクルトの顔』となったわけだが、青木は『背番号1の継承』に難色を示していたという。
「メジャー移籍を視野に入れているからですよ。近年、青木はポスティングによるメジャー挑戦をフロントに訴えていますし」(同)
09年オフの契約更改、青木は“意味シンな言動”も見せていた。06年以降同席させていた代理人を伴わずに1人で臨んだ。フロント幹部によれば、「今回はポスティングの話は一切出なかった」と言う。しかし、フロントが提示した複数年契約を固辞。『1年契約』にこだわった。
「高井の外野コンバートは『テスト』の意味合いもあったんです。状況次第では投手に戻すことも考えていました。しかし、青木が複数年契約を固辞した時点で、経営陣は『残留はなくなった』と解釈しています。青木クラスの外野手はすぐには見つかりません。青木の退団後を見据えて、強肩の高井を外野手として本格的に育てることにしたんです」(前出・同)
青木の昨季の成績は打率3割3厘、本塁打16、打点66。さほど高くないが、適応能力はWBCで証明済み。「今季、3割台の打率をキープし、30盗塁以上をマークすれば、入札金は一気に跳ね上がる」というのが、メジャースカウトの一致した見方でもある。
「青木の母校・早稲田大学はロサンゼルスでキャンプを行うなど、ドジャースとは深い関係にあります。国際色豊かなドジャースのフロントには、宮崎県出身の日本人スタッフもおり、宮崎県といえば、青木の郷里でもあります」(在京球団職員の1人)
FA取得までメジャー挑戦を待つとすれば、あと3年。機動力がセールスポイトなだけに「売り時」を逃してしまう。高井がこのまま外野手として順調に成長すれば、「後継者も育った」ということで、これまでフロントがポスティングを認めてこなかった大義名分は失われる。今シーズンを通じて、青木と話し合っていくとは言うものの、外野手・高井の成長を手放しでは喜べないようである。