ラッパー兼俳優のドナルド・グローヴァーによる、アメリカの差別社会などを皮肉った風刺楽曲である『This Is America』。日本でもさまざまな著名人が楽曲に言及し、考察するなど話題を集めていたが、そんな中インスタグラムに公開されたのが、日本のダンスチーム「Alaventa」が制作したパロディ楽曲、『This is JAPAN』。メンバーのひとりであるSANTAは自身のツイッター(現在は削除)に「海外でヒットしているこの曲を!ピースで温かいこの国で例えてみました」と投稿。その言葉通り、「おもてなし」「インスタ映え」「マジ卍」などのワードが繰り返し盛り込まれており、元楽曲と違いメッセージ性は見受けられない。
しかし、この楽曲がアップされるや否や、ネット上からは批判が殺到。「『This Is America』のパロディとしてやる意味がないどころか、マイナスでしかない」「社会問題に無頓着で、表面だけ飾ればいいっていうのはどうなの?」「元ネタから何の批評性も政治的メッセージも汲み取らなかったという感じが、This is Japanという感じ」といったバッシングや皮肉が集まり炎上。「この動画を悪気なく作ってしまうクールジャパン的感性というのが、日本の醜悪な独善的態度そのものを期せずして暴いてしまったように思える」といった厳しい声を集める事態にもなり、現在動画は削除されてしまっている。
しかし、この炎上を受け、「日本のピースな部分を表現して何が悪いのか?」「音楽に政治を持ち込んでも持ち込まなくても炎上するの?」と、炎上に対する擁護も多数集まっている。
批判の声の多くは、「若者の軽薄な文化だけを切り取って『This is Japan』と表現するのはいかがなものか」といったもの。また、元ネタとなった『This Is America』にアメリカの黒人への差別など強烈なメッセージ性が込められていることから、『This is Japan』の軽薄なノリに「不謹慎」の声さえ上がってしまった。
とはいえ、一部では「『This is Japan』が炎上するところまで含めて、“This is Japan”らしい」といった皮肉の声も見られる。投稿は削除されたのにも関わらず、いまだ賛否を呼んでいる『This is Japan』。騒動の終わりはまだ見えないようだ。