五輪イヤーの08年。日本発祥のケイリン競技で永井清が、北京で初めてメダルを獲得した。アテネの挫折から4年越しでの悲願達成。今年は本業の競輪よりも五輪にかけていた永井にとって、グランプリでの発進には迷いがない。小嶋敬も当然のように番手まくりを否定しない。
この中部作戦をケン制するように、山崎芳と佐藤友は別線を表明。「番手を含めて、なんでもあり」の佐藤は、山崎援護のためのかく乱役とみる。単騎で戦う佐藤の出現によってレースの流れはすんなりとはいかない。
混戦必至。ならば自在性にたけている井上昌が本命だ。天性の勝負強さが1億円を賭けた大舞台で、さらに活きてくることは間違いない。
4年前のアテネ五輪・チームスプリントでは予選を走った永井に代わってのピンチヒッター。五輪本番で第3走者に抜擢され、伏見俊、長塚智とともに銀メダルを手にした。世界のビッグステージにおいても物怖じしない鉄のハートは、その後GIでも遺憾なく発揮される。初タイトルとなった06年のオールスターでは、意表をつくカマシ先行を敢行してV獲り。GIの優出が3回しかない中で2度のタイトル奪取は、まさに天が授けた強運の持ち主。大舞台での一発勝負が打って付けなのは、疑う余地がない。
2年前、初めてのグランプリでは、ラストランとなった吉岡稔真氏(引退)と心中し、勝負どころでは圏外の最後方。ただバンクを回ってきただけの“超”不完全燃焼で、脚を使わずに終わってしまった。が、今回は遠慮はいらない。
「一番のデキだった年頭のころの調子に持っていけるようにしたい」
小嶋ラインに飛び付きまくり追い込んだ1月競輪祭Vが真骨頂。そのシーンを再現するだけのデキには戻っている。
今年のラスト勝負は“豪運”の井上にすべてを託す。買い目は車単でマーク三宅への(7)(3)を主力に(7)(1)、(7)(6)、(7)(2)。