調整不足と進退問題の不安から場所前は意気消沈していたが、負け知らずで気分も乗ってきたようだ。この日はモンゴルの後輩力士でもある大関日馬富士と対戦。プライベートも仲がいい弟分で「相当意識はする。日馬富士は大きくなったからね」といったが、土俵では容赦なく圧倒した。
破竹の9連勝は自信にみちた盤石の相撲内容だった。普段はフライング気味に立って先手を仕掛けるが、この日は相手が立つのを見てからゆっくり立ち上がる余裕があった。日馬富士に先手取られて下がることはなく、冷静に左を差して一気に寄り倒した。
連日の圧勝劇に「形がよかった」と自画自賛で振り返ったが、取組後はさらに上機嫌に。支度部屋にサッカー界から珍しいゲストが訪れると、自称サッカー通の朝青龍は興奮。サッカーといえば、一昨年の負傷欠場中に、モンゴルでサッカーに興じて仮病疑惑の引き金となったホロ苦い思い出もあるが、そんなことを忘れて大ハシャギだ。
朝青龍は元フランス代表監督でイングランド・プレミアリーグの名門リバプールを率いた名将ジェラール・ウリエ氏らと談笑。ウリエ氏には「サッカーでスキャンダルになったことがあるんですよ」と自虐的なネタを交えて自己紹介するじょう舌ぶりだ。
そればかりではない。ウリエ氏とともに来場していた日本サッカー協会の田嶋幸三技術委員長には「(今度)サッカーしましょう」と仰天要請。あの忌まわしきサッカー騒動を忘れたかのように、耳を疑うようなぶっ飛び発言を放ってみせた。
土俵内外で絶好調の朝青龍。9勝全勝はライバル白鵬と2人だけになり、終盤戦に向けて勢いは増すばかりだ。