東京都杉並区が、区役所の壁に「緑のカーテン」を育てている。杉並区は、都庁ビル最寄りの新宿駅から、西へ15分ほど電車で向かった先にある。
6月末現在、杉並区役所の「緑のカーテン」は、ビルの3階まで届くかという高さだ。ゴーヤ・キュウリ・ヘチマ・アサガオが、28個のプランターと呼ばれる黒い鉢から、28メートルの高さにある7階建てビルの屋上まで、ネットを伝い、これから成長していく見込み。
杉並区役所の「緑のカーテン」は2008年度から始まった。この夏で4回目。もともとの趣旨はCO2削減だが、「緑のカーテン」の内側に入れてもらうと、ひんやりとした空気が心地よい。熱を妨げる効果もあり、壁面の温度が2度ほど下がるという。
杉並区は、人と自然の調和をかかげ、身近な自然を増やす取り組みや、自然を守っている場所や人を助成する制度なども充実している。巨木や老木も多く、巨樹ファンにはおなじみの場所だ。
区内各所には「花咲かせ隊」と呼ばれる有志たちにより育てられている花壇があり、また、区内の「坂の上のけやき公園」には、“トトロの木”として親しまれている大きなけやきの木がある。このけやきの木は、もともとは別の場所にあった。現在は、坂の上から杉並の街を見守っている。樹冠面積も広く、葉を茂らせる季節には、憩いの木陰を人々に提供している。
何かと話題にのぼることが多い“節電”だが、身近な緑を増やすことは、人々の心に涼やかな風を送ることでもあるのかもしれない。(竹内みちまろ)